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5月9日のまにら新聞から

90秒の遅れ」の意味

[ 681字|2005.5.9|社会 (society)|新聞論調 ]

尼崎のJR事故

交通機関のスケジュールを考えてみよう。もしこの国で飛行機の着陸、電車やバスの到着が九十秒の遅れなら人々は「やった!時間通り!」と歓喜するだろう。欧米諸国でも六分以上遅れてはじめて「遅延」とされる。だが日本では違う。九十秒の遅れは一大事なのだ。

 九十秒の遅れを取り戻そうと若い運転士は急なカーブでスピードを出し過ぎ、電車を脱線させて百人超の死者を出した。最近四十年で最悪の鉄道事故となった。

 「日本ではスケジュール順守への重圧は相当なものだ」とニューヨーク・タイムズは指摘した。日本の航空会社も過密な時刻表を守り通している。日本航空は今月、「『時間厳守』に焦点を当てすぎだ」と認めた。

 一方、セブパシフィック航空の客室乗務員は「わが社は九五%時間通りの航空会社です」と言う。これに対して、フィリピン航空は「PLANE ALWAYS LATE(いつも遅れる飛行機)」を返上して「PROMPT AT LAST(ついに迅速)」になったと強調する。

 日本の産業心理学者は「日本人には花のにおいをかぐ余裕が必要だ」と警告する。生来くつろいでいるわれわれ比人はあまりにも頻繁に花のにおいをかぎすぎていないか。流行のごとく、約束に遅れていく人がたくさんいる。

 時は金なり。事務の遅れは汚職をうまく隠匿してしまう。世界銀行の調査結果では、比では会社設立の書類処理に四十日を要し、十一ものステップが必要である。豪州での処理はたったの二日、スウェーデンでは三つのステップだけという。他国ができるならば比も同じようにできるはずだ。(3日・インクワイアラー、フアン・メルカド氏)

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