ハロハロ
横浜市で開かれた海外日系新聞放送協会(加盟二十四社)の年次大会に出席した。設立の経緯や経営規模も違う加盟社の代表が毎年、海外日系人大会に合わせて来日して、統一テーマの編集共同企画などを討議する。日本の新聞大会と違って、規模は段違いに小さいが、各社が抱える編集上の課題や紙面制作、営業活動の悩みなど活発な議論を展開した。
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邦字紙の台所事情はどこも苦しい。WEB新聞や無料週刊誌の発刊など新機軸の苦労話は絶えなかった。中でも編集方針を大転換したバンクーバー新報の報告に関心が集まった。日系人対象の紙面構成からワーキング・ホリデーの日本人青少年をターゲットに「若者版」を新たに発刊、「移民版」と二紙発行体制にしたという。カナダ滞在の青少年が年々増え、広告主の反応も十分と話す。
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邦字紙が試行錯誤を繰り返しながら報道事業を続けている実情が痛いほど伝わってきた。「今年の大賞を受賞したマニラ新聞は年間企画ができる体力があってうらやましい」。協会賞授賞式で、そんなお褒めの言葉も聞いた。「傷をなめ合うだけでなく、日系新聞の灯を消さないために、今何ができるかを考えていこう」。最後の司会者の言葉が耳に残った。(富)