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11月29日のまにら新聞から

復活は議員らの恥

[ 693字|2004.11.29|社会 (society)|新聞論調 ]

優先開発補助金

 下院において優先開発補助金(通称ポークバレル)の来年度の全額支給継続が決まった時、南ダバオ州選出のカガス下院議員は「下院議員諸君は何も恥ずべきことはない」と発言したが、彼のせりふは驚くに当たらない。財政危機の有無にかかわらず、ポークバレルの供宴にあずかる権利が与えられると主張するこの議員たちは恥とは最も縁遠い存在なのである。

 汚職の温床と言われるポークバレルの撤廃を求める国民の声には耳を貸さず、政党リスト制議員を含む下院議員らは、地元の有権者たちがそれを必要としているとして、温存を求めた。ある下院議員は「ポークバレルを確保する闘いこそが自分の有権者たちの社会福祉に相当するのだ」と豪語している。

 しかし、その恩恵の大半を受けているのは一握りの者たちなのだ。国会議員の中でポークバレルの支給を受けないと宣言しているラクソン上院議員によると、事業に対し開発補助金が支出された場合、通常、その二〇%が議員の懐に入るほか、政府機関の地域事務所の技師や職員が一〇%、州知事や市長が五︱一〇%、またバランガイ(最小行政単位)議長や会計監査官も二%ずつ懐に入れるため、施行業者の取り分も含めると実際に事業への投入金は予算額の四〇%に過ぎないという。

 ポークバレルの二割から人によっては五割までが手に入るため国会議員らがその職に留まり続け、妻や子供に跡を継がせようとするのも当然だろう。しかし、財政危機に見舞われている今、それを乗り越えるためにはポークバレルを諦めることが議員らによる国家への貢献である。しかし政府と国会は国民に犠牲を強いるだけのように見える。(25日・インクワイアラー)

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