国民を欺く言葉
「良いXマス」発言
「比は経済危機を乗り越えようとしている。国民は良いクリスマスを迎えられるだろう」と宣言したアロヨ大統領。だが、物価上昇が続く中、大半の国民はあざけりの目で大統領発言を受け止めたことだろう。
今年八月に科学技術省が実施した栄養状態調査の結果によると、全世帯の八割が空腹状態に陥っていることが確認された。もはや、アフリカ諸国の飢餓問題を「対岸の火事」と傍観できない状態にあるのだ。
仕事をして十分な食料を買うことができれば、空腹問題は解決される。しかし、物価上昇に賃金アップが追いつかず、労働者の実質的な購買力は低下の一途をたどり続けている。
首都圏で一世帯六人が必要とする平均生活費は月額一万七千七百九十ペソとされる。これに対し、最低賃金は一日二百八十ペソ、月額六千百六十ペソにすぎず、差し引き一万一千六百三十ペソの「赤字」となっている。最低賃金が一日百四十ペソに抑え込まれているイスラム教徒自治区の赤字幅はさらに大きくなる。
比人にとって「楽しいクリスマス」とは、テーブルに十分な食事がのぼり、子供たちにささやかなオモチャを贈ることを意味する。家計が火の車状態では、プレゼントはおろか、食料さえ十分に用意することができない。今年の「十二月二十五日」は、他の日と何ら変わらない一日になることだろう。
大統領を筆頭とする為政者たちは、経営者らと結託して賃金を抑え、スト権さえ放棄させようとしている。その傍らで、新し好品税など新たな負担を強いようとしている。大統領は、このような状況を「良いクリスマス」という言葉で覆い、自身と国民を欺こうとしている。(6日・トゥデー、ルイス・テオドロ氏)