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10月11日のまにら新聞から

空腹感というマグマ

[ 677字|2004.10.11|社会 (society)|新聞論調 ]

物価上昇と国家的危機

 フィリピンが国家的危機に直面するならば、それは財政、経済的な危機ではなく、社会的危機になるだろうと経済専門家から聞かされたことがある。危機は銀行によってではなく、国民の飢餓感の高まりにより起きるというのだ。

 今年八月に実施された世論調査結果によると、過去三カ月間に強い空腹感を感じた人が全体の一五・一%に達し、二〇〇一年三月の一六・一%に次ぐ高い数値を記録した。

 政権交代からわずか二カ月後の〇一年三月の場合、アロヨ大統領は「エストラダ前大統領の失政」に空腹感の責を負わせることができた。

 しかし、今回は違う。今年八月は第二期アロヨ政権が発足して二カ月目。大統領は、物価上昇により貧困層が食料品を手に入れられず、腹を減らしているという現実を直視しなければならない。

 物価上昇の原因は果たして、原油価格の高騰だけだろうか。わたしはそうは思わない。

 約三十年前、当時のマルコス大統領が自身の再選のため巨額の公金を選挙に費やしたことがあった。選挙の数カ月後、物価は上昇し、ペソ相場は下落した。今年の大統領選でアロヨ大統領は選挙向け公的支出を増大させ、再選を果たした。三十年前と同様、選挙後に物価は上昇し、ペソは下落し始めた。

 歴史は繰り返されたのである。

 空腹自体は真の危機ではない。問題は、現政権の浪費が国民の空腹感を強めたことにある。空腹感は火山の地下に潜むマグマのようなものだ。戒厳令末期のマルコス政権のように、マグマの存在に無関心な政府の冷淡さが、その噴出を招くことを忘れてはならない。(7日・インクワイアラー、コンラド・デキロス氏)

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