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9月26日のまにら新聞から

パサイ市の自転車屋街

[ 1253字|2004.9.26|社会 (society)|名所探訪 ]

サイクリング人気支える

 フィリピンの代表スポーツといえば、バスケットボール、ボクシング、ビリヤードのいわゆる「3B」。しかし、サイクリングもスポーツ界で確固たる地位を占め、根強い人気を保っている。週末には幹線道路沿いでロードレース用自転車に乗った集団をしばしば目にする。首都圏ではマカティ市ボニファシオ地区やマニラ湾沿いの埋め立て地がサイクリング愛好家の早朝の走行コースとなっている。

 サイクリング愛好家を支える比最大の自転車屋街がパサイ市カルティマール市場にある。日本食材店街やペット屋街としても知られるこの市場内には、二十軒ほどの自転車屋が点在している。

 店内には毎月開かれるレースの案内が張り出されている。バイアスロン、トライアスロンの一般参加レースもあり、首都圏内でも、モンテンルパ市のアヤラ・アラバンなどで競技会が開かれている。販売する自転車は最高級のレース用輸入車から国産車までさまざまだ。組み上げられた状態で店の前に並んでいる自転車は低価格帯から中級品。前後車輪にサスペンションが付いたマウンテンバイクでも一万ペソ前後。一方、高級品はフレームとパーツを別売りしている。日本や欧米のメーカーが製造する軽量な特殊鋼フレームに日本製のパーツを組み合わせると十万ペソ近くなる。

 高級車を販売する「パウリーナズ・バイシクル・ショップ」の経営者トニー・ゴさん(57)は「サイクリングはまだメジャースポーツではない。首都圏にしかない高級車販売店でも需要は限られ大量仕入れはできない」と話す。また、「景気が不安定だからいちがいにはいえないけど、一番売れ行きがいい月で月間五十台が限度かな」と説明した。地方で売れる自転車の価格帯は千五百│二千ペソが大半で、特に雨期は売れ行きが落ちる。自転車の走行に向かない上に、新学期が始まり学費に金がかかるに時期と重なるからだ。

 このように、自転車店経営者からはあまり景気のいい返事は返ってこない。二十軒程度の自転車屋街のうち高級車を扱うのは数軒だけ。市場規模の小ささがうかがえる。

 しかし、手先が器用で、メカ好きが多くい比人の自転車熱は年々高まりつつある。比最大の自転車レース「ツアー・ピリピナス」の二〇〇四年大会は四月半ばから五月初めにかけ行われた。五月二日の最終ステージ。マニラ市のリサール公園を周回するコース周辺では数千人の自転車愛好家が愛車にまたがって観戦していた。高級車を抱く観客もいれば、自分で修理をくり返した傷だらけの中古自転車にまたがって観戦している人までさまざまで、社会階層を越えた人気の拡がりを象徴していた。

 カルティマール市場で出会ったラスピニャス市在住のローレンス・バルガスさん(35)。一カ月に二回は高級店をひやかし半分に訪れている。よくツーリングに行くのは首都圏南郊の景勝地、タガイタイ。「約四十キロの道のりを一時間半で走破する」という。ラスピニャス・バイカーズ・クラブの会員だ。「会員は現在約百三十人。どんどん増えてますよ」と威勢が良かった。(岡本篤)

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