リサイクル推進を
ゴミ処分場不足
このほど首都圏で労使交渉が紛糾し、数百台のゴミ運搬車の運転手がストに突入した。このため、首都圏とリサール州内の三地域でゴミ収集作業の八割がまひした。
この国は危ない橋を渡り続けているが、近い将来フィリピン人がゴミの中に埋もれる危険性がある。それを三地域の人々は先取りして体験したことになる。
ゴミ処分場の不足は大問題である。首都圏からは一日に六千トンのゴミが吐き出される。また、首都圏の運河や排水路からは毎年二万一千トンに達するゴミが引き揚げられている。二、三年のうちに新しいごみ埋め立て処分場が建設されなければ、首都圏のゴミ行政は危機的状態にひんすると首都圏開発局(MMDA)は警告している。
MMDAが直面する問題を大別すると二つある。一つは財政難だ。新処分場の建設には五億ペソがかかる。財政危機にあえぐ政府にとって決して小さな額ではない。
もう一つの問題は、処分場の立地問題だ。ゴミ処分場が自宅の近くにできることを望む住民はいない。しかしMMDAは、新処分場は首都圏から百五十キロ圏内で、ゴミの運搬手段として鉄道が利用できることが望ましいとしている。マニラ市トンドにあった通称「スモーキーマウンテン」の二の轍(てつ)は踏むまいとの考えだ。
MMDAの新処分場建設への努力と並んで必要なのがリサイクルの推進である。リサイクルによって処分場の寿命も延びる。人々への周知活動は簡単ではないが不可能ではない。政府はリサイクルを推進する政策をスタートさせるべきだ。(9日・スター)