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8月2日のまにら新聞から

問題は制度より人

[ 685字|2004.8.2|社会 (society)|新聞論調 ]

大統領施政方針演説

 アロヨ大統領の施政方針演説の重要ポイントは、①イラク人質事件をめぐる政府対応に絡み、海外就労者(OFW)の保護を「至高の政府方針」と説明②歳入増のために増税や新税導入を推進③二〇〇五年から憲法改正に着手︱︱の三点だった。項目別に内容を検証する。

 ①「至高の政府方針」は真実ではない。OFW保護が人質事件発生前から「政府方針」だったなら、大統領はイラク派遣部隊を事件発生と同時に撤退させていたはずだ。しかし、大統領は撤退をためらった。武装勢力が処刑期限を二回延長しなければ、比人人質の首はとうになくなっていた。人質が死んでいれば、大統領を批判する国内世論が沸騰し、政権を揺さぶっただろう。「至高の政府方針」は、人質ではなく大統領自身を救うためだった。

 ②新税導入に反対しているドリロン上院議長らの主張が正しい。政府はまず、徴税の効率化と支出削減に努めるべきだ。ただし、税金の大半が政治家や役人のポケットに消える状態が続く限り、国民は脱税の手段を探し続ける。汚職撲滅なくして徴税の効率化もあり得ない。汚職対策で、まずメスを入れるべきは、上下両院議員に割り当てられる優先開発補助金(通称ポークバレル)。「汚職最大の元凶」を全廃するだけで支出を数十億ペソ抑えることができる。

 ③改憲は政治家や官僚ら中身を変えない限り無意味。議員内閣制になっても、立法府が行政府と司法を思い通りに操る最悪の状況を生むだけだ。首相を頂点とする汚職構造は、さらに深刻化するだろう。問題は制度ではなく人にあることを肝に銘じて、改憲に反対しよう。(7月28日・インクワイアラー、ニール・クルス氏)

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