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4月26日のまにら新聞から

アロヨ大統領の災難

[ 691字|2004.4.26|社会 (society)|新聞論調 ]

イラクへの国軍派遣

 スペインのサパテロ新首相は、約束を守る珍しい政治家だ。三月の総選挙直前に起きた列車爆破テロを契機に、対米支持の姿勢を堅持してきたアスナール前政権批判を展開。「国連主導の国際部隊が六月末までに米軍などの後を引き継がなければ、スペイン部隊を撤退させる」との公約を掲げて政権交代を実現させた。

 政権を握った後も、国連部隊の展開が遅れると見るや、すかさずスペイン部隊の撤退を表明して「国民への約束」を守った。

 国際テロ組織は決してトップダウン型の集団ではなく、時と状況により離合集散を繰り返し、独自の判断でテロを決行する。このような状況下、今回の撤退決定でスペインがテロ攻撃の対象外、安全な場所になったとは決して言い切れない。ここで大切なのは、スペイン国民の大部分が「これで安全になるだろう」と信じていることなのだ。

 スペインの駐留部隊は約千四百人で、米英軍十数万人とは比べものにならない。小なりともいえども、その撤退は、米英の呼び掛けに応じて軍隊を派遣した比など有志連合三十数カ国に重大な影響を与えるだろう。

 サパテロ首相の決断は、アロヨ大統領の将来とも無縁ではない。

 大統領は今、ロコ前教育長官の病気治療や俳優ポー氏陣営のもたつきで優位に立ちつつある。しかし、イラク駐留中の国軍兵士が死傷する事態が発生した場合、状況は一変する。部隊撤退で選挙に勝ったサパテロ首相とは逆に、部隊派遣の責めを負わなければならない。災難の芽を摘みたいのなら、直ちに国軍撤退を表明すべきだ。米の顔色をうかがう必要はない。「比国内のテロ対策に専念したい」と撤退を正当化すればよい。(23日・トゥデー)

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