ハロハロ
「フィリピンは女性で持っている国ですよ」。来比して間もなく、日本のある政府機関マニラ事務所長から聞いた言葉だ。確かに、外資系企業に働くフィリピン人女性には優秀な人物が多い。中でも現地法人社長や支店長付き秘書が筆頭格であろう。ただし、取材する記者の目で見ると、彼女らの言動には先進国型管理社会の延長を感じて面白味に欠ける。
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楽しいのは非管理型社会、フィリピンを象徴する役所で働く女性秘書たちとの付き合いだ。彼女らと親しくなると時々ビックリするような情報が得られる。最近では、某省高官の秘書に「ボスの履歴を知りたい」と頼んだ。すると出てきたのはなんとボス手書きの履歴書だった。高官に政治任命される前に在籍した企業名(複数)と月額給与までが記されていた。
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米国の本社で月収一万五千ドル(八十五万ペソ相当)で働いていた比人幹部社員が月給たかだか数万ペソの比の役所に送り込まれた理由は何か。この履歴書のおかげで、米系企業が利害の絡む比官庁をどうコントロールしているかがよく見えてきた。当の女性秘書には手みやげを欠かさぬよう心掛けている。(康)