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援助パソコン盗難

[ 1266字|2004.3.25|社会 (society)|援助パソコン盗難 ]

貿易産業省、日本大使館のパソコン配布見合わせ要請を無視し2月から配布再開

援助対象校のパソコン教室には、事業の意義を説明するロハス前貿易産業長官署名入りの文書が掲げられている

 日本政府の無償援助でフィリピン全国の公立高校に贈られたパソコン類の連続窃盗事件で、事業実施主体の貿易産業省が在比日本大使館の要請を無視して、二月初旬から援助パソコンの新規配布を再開していたことが二十四日、分かった。被害続発を憂慮した同大使館は昨年十二月、再発防止策が講じられるまで新規配布を見合わせるよう同省に申し入れていた。大使館側は配布再開の連絡を受けていなかったことを認めた上で「事実関係を確認したい」とコメントした。

 配布見合わせ申し入れをめぐる話し合いは、同省のアーミン・ラケルサントス次官補と同大使館の石井哲也経済担当公使の間で続いてきた。同次官補は今年三月初旬、援助再開の事実を伏せたまま「再発防止策を定めた」と同公使に報告。これを受け、同公使は三月中旬に配布再開を了承したことを次官補に伝えた。

 しかし、パソコン配布は二月十日から再開され、三月四日までに援助対象校千百校の約三割、三百二十一校への配布を完了していた。同次官補と同公使は配布再開後も、「配布見合わせ」を前提にした話し合いを続けていたことになる。また、同大使館側は三月二十三日付で、「貿易産業省から事実関係の報告、再発防止策が提出されたことを受け、パソコン配布の再開を了承した」との広報文も発表していた。

 同省の策定した再発防止策は・住民による警備強化・警備員増員・机へのパソコン固定・盗難保険加入——の四点。

 大使館側の了承を得ずに配布再開に踏み切った理由について、同省担当局のマラリット局長は「パソコン製造業者や配送会社との契約を既に結んでおり、事業を推進する必要があった。日本大使館の提言は尊重するが、大使館に事業を止める権限はない」と説明した。

 また、同局長によると、二月にロハス前貿易産業長官から事業推進を求める書簡が届いた。前長官は上院選出馬のため昨年十二月に長官ポストを辞任している。

 日本政府の援助事業は「公立高校のためのパソコン・プロジェクト」と名付けられ、第一期(援助額約六億ペソ、二〇〇二年一月—〇三年六月)と第二期(同五億ペソ、〇四—〇五年)で構成。

 日本大使館は第一期支給分のパソコンに窃盗被害が続発したことから、第二期のパソコン配布を見合わせるよう同省側に求めていた。第二期の援助対象校は全国千百校で、パソコンセット(本体やモニターなど)約一万四百組が贈られる予定。

 同省によると、既に配布済みの三百二十一校のうち百十一校は、窃盗被害が多発してきた中部ルソン地域にある高校。残りは、イロコス地域六十三校▽ダバオ地域四十二校▽南部タガログ地域二十四校▽北部ミンダナオ地域二十四校▽西部ビサヤ地域二十一校——など。

 援助パソコンを狙った連続窃盗事件は〇二年一月ごろからルソン島の七州二十四校で発生。今年に入ってからもルソン島中部タルラック州の高校が被害に遭った。これまでに一部事件に関与したとされる比人男性四人組が逮捕されたが、国家警察は複数の窃盗団が依然暗躍しているとみて捜査を進めている。

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