ハロハロ
定期診断で帰国した折、上野の東京都美術館でモネとモリゾ・マルモッタン美術館展を見た。モリゾは第一回印象派展(一八七四年)にピサロやモネとともに参加した七人の一人で女流画家。しかし、作品が少ないせいかこれまで絵は見たことがなかった。
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平日の午後だったが、行列こそないもののいっぱいの人である。どの展示の前にも人だかりがしている。こういう珍しい企画を大胆にやることができるのも多くの美術ファンの後押しがあってのことだろう。老人が半額になっているのもありがたかった。
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八〇年代末に開かれたヤポニスムと西洋近代絵画展(東京)は浮世絵が印象派などに与えた影響を丹念に例示した優れた企画展だった。そのあと九二年には、フォービズムと日本近代洋画展(名古屋)が開催され、今度はブラマンクなどが日本洋画に与えた影響を追跡、これも特筆ものだった。美術館のみならず、新聞社や百貨店も主催するなど独特だが、日本の美術展レベルは世界でも一流と思う。バラエティに富んだ展覧会をのぞくと、文化の底力のようなものを感じてしまう。国外から眺めるととりわけそうだ。 (紀)