路上拳銃強盗また発生 邦人が現金など被害
マカティ市で邦人を狙った路上強盗がまた発生。同行者は負傷。財布とパスポートの入ったかばん奪われる
在フィリピン日本国大使館は5日、首都圏マカティ市ベルエア地区ジュピター通りで2日夜に、邦人が路上で強盗に遭ったと発表した。首都圏警察マカティ署のマービン・イノセンシオ上級警部によると、事件が発生したのは同日9時50分ごろ。首都圏パラニャーケ市の総合リゾートホテルに滞在中の20代の邦人男性が、同行している韓国人男性とマカティ市ジュピター通りを歩いている際に、正面から2台のオートバイが接近し、下りてきた男たちが拳銃のようなものを突きつけ、かばんを渡すよう要求。拒否しようとした韓国人男性の頭部を銃で殴った。韓国人男性は頭部を負傷。続けて脅された邦人男性は、パスポートと財布の入ったかばんを渡した。財布には現金約15万円、9000ペソ、キャッシュカード、保健証が入っていたという。
容疑者は犯行時に顔を隠していなかったため、被害者は前科のある人物の顔写真から容疑者2人を特定。1人はマニラ南墓地に住む20歳の男で、もう一人はマカティ市サンタクルスに住む男だった。犯人は4人いたとみられるが、ほかの2容疑者は特定できていない。書類は既にマカティ市検察に送致され、近く検察が逮捕状の発付を地裁に申請する。
邦人を標的にした路上強盗事件は、最近だけでもマカティ市のグリーンベルト・モール付近、同市マカティシネマスクエア近くのカラオケバーの入り口近く、マニラ湾沿いの歩道で発生している。手口の類似性からイノセンシオ上級警部は「同一グループによる犯行の可能性がある」と指摘。今回は容疑者が特定されたため、逮捕状が発付され次第、容疑者を逮捕し、余罪の捜査も進めるとしている。
▽旅行客を標的
邦人を含む外国人が狙われる理由について同上級警部は「今回は違うが、旅行客はパスポートの再発行や保険金を申請するために警察の報告書だけリクエストするが、刑事手続きをいやがって被害届は出さない場合が多い。犯人も逮捕されるリスクが低いことを知って、狙っている可能性もある」との見解を示した。
在比日本国大使館によると、同館が近年扱った邦人援護件数は2019年1187件、20年1355件、21年971件、22年685件と推移。しかし、最近の拳銃強盗被害に限っていえば、「大使館が認知した件数が増加傾向にある」という。
大使館は在留邦人に対し、「夜間の外出は控え、やむを得ず外出する際には不必要な貴重品は持ち歩かない、持ち歩く時は分散保持に努める、なるべく居住先から目的地まで車を利用しドアツードア移動をする、被害に遭った際には絶対に抵抗しないなど、注意してほしい」と呼びかけている。(竹下友章)