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1月19日のまにら新聞から

処刑は中止すべき

[ 685字|2004.1.19|社会 (society)|新聞論調 ]

死刑執行問題

 アロヨ大統領は、今月三十日予定の死刑囚二人に対する薬物注入による死刑執行を中止すべきだ。一緒に訴追された仲間らが、死刑囚がマリキナ市で発生した中国系フィリピン人の誘拐事件には関与していないことを証言しているからだ。最高裁判決で死刑が確定したからといって、判決は完全無欠ではない。過去に無実の者に死刑判決を出し、執行寸前まで行ったケースが実際にあった。

 数十年前、二人の若者が農夫とその妻を殺害した罪で訴えられた。若者たちが犯行現場にいたという二人の目撃証言が決め手となり、第一審で死刑判決が出て、最高裁でも死刑が支持され執行日が決まった。

 この二人の若者の死刑執行を取材することになった旧英字紙マニラ・クロニクルの記者はある日、死刑執行直前に最後の食事を取っている死刑囚の会話を耳に挟んだ。死刑囚の一人が、殺害事件のあった夜、自分は自身の十六歳の誕生日パーティーを祝っていた、と話したのだ。それを耳にした記者は、「犯行時に未成年だった既決囚は死刑執行されない」という最高裁判例の一節を思い出した。彼はすぐさま、刑務所所長にその話をした。

 その後、この内容は所長から法務長官に伝えられ、さらに当時のガルシア大統領に報告された。そして最初の死刑執行が実施される数分前になって、大統領府から刑務所に緊急電話が入り、電気イスによる死刑執行が回避されたのである。後に政府側の捕虜となったゲリラ部隊の司令官が農夫と妻を殺害したことを自白した。

 目撃証言者の一人はその後、不慮の事故で死んだという。神の罰はそうやって下されたのだ。(15日・インクワイアラー、ニール・クルス)

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