ハロハロ
北海道の河川は毎年九月中ごろから遡上(そじょう)するサケの大群で埋まる。放流されたサケが四年後に生まれ故郷の河川に帰ってくるが、体長一メートルも超える大きなサケが何千匹も川幅いっぱいに回遊している風景は壮観だ。北国の風物詩を初めて体験見学しようと知床半島を中心に駆け回った。
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河川めぐりの移動には空港でカーナビ付きのレンタカーを借りた。これまでカーナビには、ほとんど興味がなかったが、この時ばかりは地球上の衛星を利用した「ナビちゃん」の威力に驚かされた。モニター画面に行き先と進行方向が表示され、交差点の三百、七百メートル手前に来ると、音声で進行方向の指示が出る。
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最も感心したのは車線変更禁止区域の手前で走行車線を指示されたことだった。霧で有名な摩周湖の山岳道路では四、五メートル先が見えない濃霧の中で、迷うことなく目的地まで誘導してくれた。サケも太平洋上をこんな「サケ・ナビ」を積んで戻ってくるのだろうか。先端情報技術の素晴らしさを、また一つ体験した。 (富)