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12月1日のまにら新聞から

支配者気分を捨てよ

[ 681字|2003.12.1|社会 (society)|新聞論調 ]

スービックで紛争再燃

 スービック湾域開発庁(SBMA)のパユモ長官とゴードン前長官一族との紛争が再燃した。紛争の種は新港とこれに併設される貨物ターミナル建設計画。現長官は世界的な貨物輸送の需要増に対応するため不可欠と主張。ゴードン側は①米海軍が利用していた現存の港湾機能を生かせ②周辺環境を破壊する③二億千五百万ドルもの新規債務は問題︱︱と指摘、反対している。

 前長官の妻、キャサリン・ゴードン・オロンガポ市長は「建設場所が問題」として難色を示している。工事で発生する泥がサンゴなど海洋生物を死滅させ、洪水発生の危険があると主張している。

 現長官はこれに対し①フィリピンは貨物の取扱能力でアジア各国に遅れを取っている②スービックは海上交通の要衝なのに、大型コンテナ船の受け入れ施設がない③建設には泥の海域への排出を抑えるため擁壁を設ける︱︱と反論。また、ゴードン側提案の代替地は狭すぎるし、環境影響評価を実施する環境省の許可が下りなければそもそも事業は開始できない、と訴えている

 新港建設では日本の国際協力銀行(JBIC)が既に融資を承認しており、国家経済開発庁(NEDA)も事業を認可している。事業中断は、今後のJBICの融資を滞らせることになる。航空貨物輸送の拠点、クラーク国際空港とともに、新港と貨物ターミナル建設は中部ルソン工業化に寄与できる。

 パユモ長官は「私が長官職を退くまで事業を遅らせたいようだ。キャサリンは次期SBMA長官を狙っている。ゴードン一族は依然オロンガポとスービックの支配者気分でいるようだ」と憤る。(27日・インクワイアラー、ニール・クルス氏)

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