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9月20日のまにら新聞から

移民1世紀 第3部・新2世の闇と未来

[ 1429字|2003.9.20|社会 (society)|移民1世紀 第3部・新2世の闇と未来 ]

重大な問題として認識

8月下旬、ダバオ市で行われた日本人移民百周年パレードで、日本の国旗を手に行進する日系人の子供たち

 日本とフィリピンの「民際交流」の深まりとともに深刻化してきた「新二世問題」。マニラ新聞は、在比日本大使館に公的支援の現状や日本政府の対応方針などに関する質問状を送り、回答を得た。連載第三部の締めくくりとして、主な回答内容(要旨)を紹介する。

 

 ・対策を講じる上で新二世の人数など実態把握が必要不可欠だが、これまでに調査などで実態把握を試みたことはあるか。

 大使館 当館としても重大な問題であると認識しているが、日比間の国際結婚数が依然減少に転じない現状において、その実数を把握することは極めて困難で具体的な人数は把握していない。当館では(日本人が海外で外国人と結婚する際に必要な)婚姻要件具備証明書を年間約五千件発給している。しかし、交付を受けた日本人のうち、その何割が実際に婚姻をし、かつ日本側への婚姻届の提出を行っているかについて、把握することも非常に困難な状況にある。

 ・一九九五年の日比首脳会談で「将来の日比関係に影を落としかねない問題」として取り上げられた。その後の公的支援の実績、大使館による支援の現状は。

 大使館 当館には、(新二世の母親らから)一カ月平均三十件を超える相談が持ち込まれる。内容は、日本人配偶者の消息調査、金銭支援、国籍取得など多岐に及び、相談者の事情、背景などを聴取した上で可能な範囲で側面支援を行っている。現時点において、混血児(新二世)のみを念頭に置いた公的支援は存在しないが、当館としては個別の相談事案を真摯(しんし)に受け止め、混血児とその家族が抱えている問題を整理、検討した上で前向きに対応していくことが重要だと認識している。

 ・将来的に公的支援を実施する場合、対象は日本国籍児のみに限定されるのか。

 大使館 個々の問題は金銭支援、日本国籍の取得・再取得、日本旅券の発行などさまざまであり、支援を実施する段階において必ずしも日本国籍所有者に限定できる状況にはないと認識している。

 ・比で成立した婚姻が日本側役所に届けられず、結果的に新二世の日本国籍取得に障害が出ているが、大使館窓口での対応は。

 大使館 婚姻要件具備証明書の申請時に、比方式による婚姻手続きの流れ、婚姻成立後の日本国内への婚姻届提出の必要性などを記載した書面(日本語と英語)を配布し、必要に応じて口頭で説明している。出生届などの手続きについても、申請者に手続きを把握してもらうため配布資料を見直している。

 ・日本国籍のまま比に違法滞在している新二世の人数や比国籍取得に際する支援は。

 大使館 具体的な人数は把握していない。個々のケースでは、戸籍謄本入手のほか、相手の日本人との関係や本籍地が明確な場合に本籍地のある役場の住所、電話番号を教えるなどの側面支援を行っている。

 ・違法滞在状態になっている、日本国籍の新二世を対象にした邦人保護についての方針は。

 大使館 邦人保護全般の話として、支援を要請された場合には、一義的には相談者自身の「自助努力」をもって解決策が導き出せるか否かを相談者とともに検討する。「自助努力」による解決が困難な場合には、相談者の意向を聴取しつつ可能な範囲で支援を行っていくことが当館の基本的立場。混血児問題は多岐に及んでおり、個々の事情に応じた対応が必要であり、その中で新たな対応が必要となる場合には、その都度検討した上で対応することが必要と考えている。(第三部おわり)

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