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7月14日のまにら新聞から

司法の信頼失墜招く

[ 673字|2003.7.14|社会 (society)|新聞論調 ]

「エドサ2」の悲劇

 民間調査会社がこのほど実施した世論調査で回答者の約半数に当たる五一%が「エドサ2」によるエストラダ前大統領の追放は不当で憲法違反であると回答している。エドサ2で政権交代が実現したが、最高裁はこれを「革命ではなく一九八七年憲法に沿った合法的な政権交代だ」と強調していた。

 さらに調査結果では、回答者の三分の一以上が前大統領の不正蓄財裁判を担当している公務員特別裁判所は公正な司法判断を下せないだろうとの見解を示した。

 この調査で明らかになったのは司法制度への国民の信頼感が危機的なほど失われているということだ。もし国民が裁判所に高い信頼をおくならば、当然、アロヨ大統領の大統領就任を合憲とする司法判断に疑問を抱くことのない国民の割合はより大きくなるはずだ。

 また別の調査では、回答者の三六%が前大統領の有罪を確信しているのに対し、無罪を信じている回答者も三〇%いた。

 公特裁、最高裁ともにこの調査結果に大いに留意べきだ。最高裁がアロヨ大統領の就任は合憲との司法判断を下していても、大半の人々が前大統領の追放は誤りだったと感じているからである。

 裁きの場に立たされた前大統領はダビデ最高裁長官ら判事に対する弾劾申し立てをはじめ、不正蓄財裁判においても数々の再考申し立て行っている。これを却下するだけでは、国民の信頼を取り戻すことはできない。

 世論調査の結果からは、裁かれるべきは前大統領だけではない。司法制度の根幹的な部分において国民の信頼を失っている今、国や国民は危険な状態にある。(8日・トリビューン、ニネス・カチョ・オリバレス氏)

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