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7月14日のまにら新聞から

「政教分離」を考える

[ 697字|2003.7.14|社会 (society)|新聞論調 ]

大統領選を前に

 次期大統領選に向けて、現政権の中にカトリック教会の最高指導者シン枢機卿がアロヨ大統領の出馬に「お墨付き」与えたと吹聴しようとした者がおり、現政権やカトリック教会に反対する者の猛反発を招いた。政教分離を定めた憲法に違反するとして訴訟まで起こされている。

 国家宗教を制定することが憲法に反しないとの主張の立証責任は政府にあるということを思い起こすべきだ。この観点からは、政府高官から地方公務員に至るまで多くの役人が処罰されてしまうことになる。

 公共の場所が礼拝場として使われ、官庁のオフィスや公園には宗教画やキリスト像が飾られている。政府が宗教儀式を主催し、それが公式な式典のプログラムの一部となっている。これらすべてはカトリック教をそれ以外の宗教から切り離し、公的な認知を与えることにつながる。信者の支持を得ようと宗教団体の集会に顔を出す政治家については言及するまでもない。

 他方、宗教指導者には発言の自由を行使するという正当な権利がある。しかし、カトリック教、イスラム教の場合、宗教的な活動がそのまま政治活動になってしまう。それ故、教会の教えは政教分離に抵触しないばかりか、グッド・ガバナンス(良き統治)にも不可欠となってくる。

 司教や司祭、一般のカトリック教徒に対し、彼らが自らの見解を表明したり、組織的な主張を行うことは出来ないと告げることは、政治的権利の根本的な侵害となる。実際、教会が信者に特定の候補者への投票を強制している証拠はほとんど見当たらない。宗教が政治色を強めても、国家が権力で押しつけなければ危険とは言えまい。これが政教分離の現実的な姿なのだ。(10日・トゥデー)

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