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6月2日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 534字|2003.6.2|社会 (society)|ハロハロ ]

 隣りの空き地にまた家が建った。昨年十一月末から半年余り。雨期入り寸前に完工し、ホッと胸をなでおろしている。前触れもなく突然、砂利や資材が道をふさがんばかりに山積みされた。その後は、騒音、粉じんなどの被害に悩まされた。ある朝、ベランダの植木の葉が無残にしおれた。さすがに「防護シートくらいかけろ」と怒りが込み上げてきたが、工事関係者には何食わぬ顔で接した。

 二年前に苦い経験をした。南隣りで同様、新築工事が始まった。早朝から夕方までラジオの音は鳴り響き、家の前はまるでごみ捨て場。たまらず抗議すると翌朝、愛車のトランク部分の一角がへこんでしまった。こぶし大の石で思いきりなぐりつけられたのだ。ゲート越しに若い大工らのせせら笑う表情を見て、「報復」と了解した。

 当時、すでに在比六年。これ以上の険悪な関係は身を危険にさらすと悟り、夕刻、ビール二ダースを差し入れた。当然にも若者らの態度は激変する。顔を合わせれば笑みを絶やさず、仕事の合間には雨漏りがひどい我が家の屋根の修理まで手掛けてくれた。もちろん、労賃もはずんだ。雰囲気は一層和んだ。車の傷を目にする度に「フィリピンでの処世術」を心に刻み込んでいる。 (康)

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