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3月17日のまにら新聞から

民主主義定着図る

[ 718字|2003.3.17|社会 (society)|新聞論調 ]

武力攻撃の意義

 米国のイラク攻撃は石油利権が目的との声が上がっているが、攻撃が米国の利益にならないことは有能な経済学者にとって自明の理である。イラクに対する戦費は千五百億ドルとみられている上、米国企業への間接的な悪影響は計り知れない。また、イラクの石油埋蔵量は世界二位とされており、米国勝利の後、効果的に採掘されると原油価格は暴落することも予想されるからだ。

 私は攻撃の真の目的はイラクに民主主義を根付かせることだと思う。若者が急進的なイスラム思想に傾倒する背景となっている、中東地域の汚職や独裁を解決しようとしているのだ。

 これは第二次世界大戦後に米国が日本やドイツで実施したのと同じ方法だ。この時は①東条英機やヒトラーといった世界平和を乱す指導者が現れないようにする②ソ連・共産主義の脅威拡大の防波堤となる政権を作る││ことが目的だった。米国の国益を考えた政策だったが、両国がその後素晴らしい発展を成し遂げたことに異論を挟む者はいない。

 マルコス政権を打倒するため米国の介入を求めていた人の中にすら、イラクの政権交代に反対する人がいる。皮肉なことだ。彼らは平和主義者で、武力で政権交代させることは悪だと言っているのである。だが、ヒトラーがチェコスロバキアに侵攻した一九三〇年代後半、ドイツの政権を転覆できていたらホロコーストなどの悲劇は起きなかったのではないか。

 イラクの軍隊は湾岸戦争後の経済制裁などで弱体化している反面、米軍の軍事テクノロジーは著しく発展した。予期される攻撃は湾岸戦争よりも短期間に終わるだろう。戦争は経済問題が背景となることが多いが、今回の戦争の目的は石油ではない。(14日・スタンダード紙、カリスト・チキマコ記者)

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