一刻も早い成立を
資金洗浄防止改正案
わが国は現在、国内法の枠内で国際機関「金融活動作業部会」(FATF)の要求を満たす資金洗浄防止法を成立させる必要に迫られているが、これは国際社会の要求と国家の自立を求める動きとの衝突の一つと見ることができる。モノやサービスの移動、金融取引、政治問題などを含む国際関係の分野において、このような衝突は様々な形で起きている。
これらの衝突を解決するために様々な国際機関が設置されている。世界貿易機関は相互に受け入れができるルールを設けて国際貿易取引を規制するのに対し、国際労働機関はすべてのメンバー国が順守できるような雇用労働者に関するルールを定めている。また、国連はこれらの機関の最上部に位置し、国際政治を秩序あるものとして形成する役割を担っている。
FATFの目的は、麻薬やテロ活動に関する資金隠しなど違法な目的で銀行システムを利用することを防止することである。わが国の上院議員たちが国内の銀行に関する情報機密条項や関連法の侵害を恐れて、FATFの要求をすべて受け入れることに二の足を踏んでいることは理解できる。このほど国会を通過したもののFATFに拒否された資金洗浄防止改正法では監視対象となる最低預金額は五十四万ペソ以上とすることなど国際基準に合わせてもいた。
しかし、国内の銀行協会代表は「もしFATFが(期限までに法律が成立せず)制裁措置を取ったらすべての銀行取引で膨大な必要書類と審査が必要となり、わが国の国際競争力は地に落ちることになるだろう」と述べている。実際にフィリピン人海外就労者の送金に支障をきたしている。
国際的要求と国内事情を両方満足させる洗練された方法があるはずである。一刻も早く適切な法律を成立させるべきだ。(16日・タイムズ)