食い物にされる税金
関税局職員らの横領事件
読者の皆さんは、税収が落ち込み、財政赤字が拡大するのはなぜかとお考えのことだろう。その理由を説明する好例が最近、国家捜査局によって提示されたので紹介したい。
同局に告発された人物は、マニラ国際空港に配属された関税局職員で、五千三百万ペソもの税収を私的に流用していたとされる。会計検査院の調査によると、この職員は二〇〇二年一月から十月の間に、収入印紙の販売代金二千万ペソあまりをポケットに入れていたことが判明。〇〇年以降分を含めると、横領された印紙代金総額は五千三百二十一万ペソに上るとされる。関税局と国家捜査局は、横領分を直ちに弁済しない限り略奪容疑で逮捕すると職員に迫っているが、当の本人が一度ポケットに入れた巨額の金を返済するかどうか。
職員は一九八二年に関税局に入局した中堅職員。三年間で五千三百万ペソもの金を横領したことが事実とするならば、入局以来の二十年間で一体いくらの金を横領してきたのだろうか。
職員の行為は、空港で取り引きされる収入印紙を介した詐欺にすぎないが、港湾にいる関税局職員の「ビジネス」はさらに利益の上がるものに違いない。連日のようにマニラ港に荷揚げされるコンテナ。密輸米や密輸野菜の詰まったコンテナ一つで、職員は一体いくらのもうけを得ているのだろう。
税金を食い物にしているのは関税局だけではない。昨年には、公共事業道路省の職員が架空の車修理をでっち上げて、二年間で五千万ペソ以上をポケットに入れた。関税局、同省の職員とも訴追されることは歓迎
すべきニュースだろう。しかし、まだどれほど多くの公務員が司直の手を逃れながら金欠政府の状態を悪化させていることか。 (14日・スター)