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12月2日のまにら新聞から

無数の「落とし穴」

[ 700字|2002.12.2|社会 (society)|新聞論調 ]

ケソン州バス転落事故

 ケソン州タグカワヤン町でバスが数十メートル下の谷に転落し、三十三人もの犠牲者を出した。長年、全国いたる所でこの種の悲劇が繰り返されながら、事態は一向に改善されない。わが国の交通機関をめぐる環境には、無数の「落とし穴」がある。残念ながら、今回の大事故が教訓とされる可能性はないと言える。

 悲劇を繰り返す背景として、主として三つの要因を指摘できる。一つは道路の貧困なメインテナンスである。遭難したバスは深夜、ケソン市を出発し、ビコール地方のナガ市に向かっていた長距離バスで、午前零時すぎに、事故現場にさしかかった。急カーブでも灯り、ガードレールはなく、注意を促す標識すら設けられていなかった。こんな道路環境はわが国では当たり前となっている。

 次はバス自体の問題である。廃棄寸前の中古車が運航されており、しかも定期点検を怠っている。とにかくバス会社はタイヤが破裂するとか、今回の事故車のようにブレーキが破損すると言ったような事態に至るまで運行し続けるのである。

 三つ目はバス、トラックの運転免許の取得まで不正が横行していることだ。しかも運転手の中には長距離運転の疲労に耐えるため覚せい剤を使用する者がいる。

 今回の事故では運転手も死亡した。生存した乗客の証言によると、転落原因は、ハンドルかブレーキの故障とみられている。いずれにせよ、運転手は暗闇の中、狭く曲がりくねった道で車を制御できなくなってしまい、「奈落の底」が口を開けてしまったのである。

 犠牲者の遺族がバス会社に補償要求することもまれだ。これが会社経営者を甘やかし、バスの品質やメンテナンスの向上を妨げ続けている。(25日・スター紙)

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