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4月15日のまにら新聞から

尊重すべきは民衆の命

[ 696字|2002.4.15|社会 (society)|新聞論調 ]

イ軍のパレスチナ侵攻

 フィリピン政府は現在、イスラエル軍のパレスチナ自治区侵攻による中東危機に際し、同軍の自治区からの撤退を呼び掛けた国連安全保障理事会の決議に同調する姿勢を示している。カトリックの最も神聖な地であるベツレヘムの聖誕教会が破壊の危機に直面しており、同時に、世界のカトリック教徒たちとともに保護を求めている。

 イスラエル軍はキリスト教徒の聖地に逃げ込んだイスラム教徒たちを攻撃することはまれだ。だが、これ以上の流血を避け、民衆の命と信条を守るため、フィリピン政府が国連決議に対して取った姿勢については、歓迎できる。  

 国連はイスラエル政府に対し、軍隊のパレスチナ自治区からの撤退と指導者の解放、そして真のパレスチナ国家樹立に向けた枠組みの設定を求める決議を出したが、これには米国の干渉により「即時」の文言が抜け落ちていた。このため、イスラエルのシャロン首相がさらに数日間の冒険的な侵攻を続ける余地を与えてしまったのだ。フィリピン政府はこの決議を越え、「即時の撤退」を求めなければならない。

 カトリック教徒であるフィリピン人にとって自分たちの聖地が汚されることは確かに気に掛かるところだ。だが、それはあまりに狭い見方であり、問題の本質を捉えていない。世界に向けた声明文である決議案、聖誕教会の保存に対する人々の祈り、また戦車に蹂躙(じゅうりん)される人々の姿を前に、われわれは今、自分たちが「何に価値を置き、何を守るべきか」についての考えを表明すべきなのだ。

 フィリピンは、民衆と国家の命を尊重する。それゆえ、パレスチナ国家の即時樹立とその国民の保護を支持するべきなのだ。(8日・トゥデー)

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