新聞論調
政治色が強すぎる 演習支持の司教協議会
カトリック司教協議会はこのほど、比米合同軍事演習の支持を表明した。演習に対する支持はそれまでの主張を一転させたと言える。
エストラダ政権下の一九九九年、同評議会は「訪問米軍の地位に関する協定(VFA)」批准の際には徹底的に反対した。反対理由として①売春産業の活発化でエイズを始めとする伝染病のまん延②米兵の犯罪に対し、司法権を放棄できる条項が盛り込まれている││を挙げていた。
前政権下で行われたイスラム急進派、モロ・イスラム解放戦線(MILF)に対する「全面戦争」路線にも反対した。多くの市民が戦火の巻き添えになるというのがその理由だった。一貫して「戦争反対」を訴えていた。
イスラム過激派、アブサヤフへの掃討作戦に対しても同様だった。前政権下で国軍は、外国軍の助けを借りずに再三人質を救出したが、協議会は国軍の人権侵害や戦争難民問題を取上げ、非難し続けた。
だが、カトリック教会の支持を取り付けたアロヨ政権下では、主張は一変した。今や米軍が国内に駐留することが最良の策となった。「国民が支持している。誰が反論できるのか」ということだ。
「エドサ2」に協力して以後、評議会は国民の意思など意に介していないように思える。すでにサンボアンガ市には米兵目当てのバーや売春業者が増えているという。米兵によるレイプや暴行事件も容認することだろう。
演習については「せん滅の対象はゲリラだけ」と語っている。彼らはテレビで様々な形の爆弾を目にしてないのだろうか。この発言の誤りを自覚しているはずだ。
聖職者に対する信頼は失われつつある。彼らには政治色が強すぎる。(29日・トリビューン)