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6月11日のまにら新聞から

教育現場の悲劇     

[ 692字|2001.6.11|社会 (society)|新聞論調 ]

援助を浪費する官僚

 統一選挙の集計が新学期開始前に終わり、集計作業に当たっていた公立学校の教師らが、無事に学校に戻ることが出来た。

 しかし、新学期が始まるこの時期に、フィリピンの公立学校は毎年同じ問題に悩まされる。それは、教室、教師、教科書の不足だ。さらに信じられないことにチョークや黒板まで不足している。また、教育省は何がどれだけ不足しているかという実態を、発表するつもりもないようだ。

 新学期開始に当たり、ラウル・ロコ教育長官は「今年は八百万冊の教科書を購入し、七千人の教師を新たに雇った」と述べた。しかし、実際は教科書が一億五千万冊、教師は三万六千人も不足している。彼のコメントが意味しているのは、不足分の教員数の五分の一を補うのが精一杯という教育現場の現状だ。これらの普及率を満足のいくレベルまで高めることは別の部門の予算を削減し、これを充当すれば可能だ。財政危機にあるのこの国で、そのようなことは現実的でない。

 教育省は現場からの要求を無視しているわけではない。ロコ長官によると同省は一九九七年に二千の教室を増設するため世界銀行から百二十億ペソの借款を得ている。しかし、この資金は九八年に二つ、二〇〇一年に二百の教室増設をもたらしただけだった。残されたのは、政府の返済義務だけだ。使途不透明なままの多額な債務返済を善良な市民が尻拭いすることになったのである。

 この国の官僚体質がいかに援助を浪費させているかについて、教室不足に悩まされ、退学していく数百万もの子供らに政府は説明する義務がある。貧困問題はさておくとして、これは古くから我が国が抱えている悲劇だ。(四日・インクワイアラー)

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