時間を稼ぎ反撃狙う
大統領の対抗戦略
エストラダ大統領とその支持者の戦略は明白だ。できるだけ時間を稼ぎ、組織力を高めることだ。
反政府勢力は、シンソン南イロコス州知事が暴露した違法賭博疑惑を効果的に利用し、大統領の退陣を求めている。閣僚の辞任、与党議員の大量離党、そして弾劾裁判開始の兆しさえ見え、大統領は窮地に立たされている。
だが、大統領が沈黙を守る中で、支持者たちは失った力の回復に向けて着々と計画を進めているだろう。
大統領勢力は十一月十一日にマニラ市リサール公園で開く祈とう集会をその皮切りにしたいとの考えのようだ。大統領は自らこの日を「逆境を乗り切るための国家団結を図る祈りの日」として、国民の特別休日に指定した。
大統領の支持基盤でもあるカトリック系団体「エルシャダイ」や「イグレシア・ニ・クリスト」などの宗教団体が主催し、多数の市民を動員するとみられる。
大統領府は「集会に政治は巻き込まない」としているが、これは、エドサ通りでこのほど開催されたシン枢機卿やアキノ元大統領らによる大統領退陣要求集会への対抗的主張だ。
大統領の「片腕」として動いているのが、マセダ駐米大使だ。彼はゲリラ的な政治手法を得意とし、「政界の寝業師」として知られている。
ようやく反撃ののろしを上げた大統領勢力は今後さらに動きを活発化させるだろう。