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11月13日のまにら新聞から

現状では選択肢なし

[ 578字|2000.11.13|社会 (society)|新聞論調 ]

大統領の後継者問題

 民間調査機関、ソーシャル・ウエザー・ステーション(SWS)の世論調査によると、国民の四四%がエストラダ大統領の辞任を望んでいないという。

 この調査結果を受け、アロヨ副大統領は「民意を正確に反映していない」とコメントした。違法賭博疑惑をめぐる与党議員の大量離党など、大統領の求心力低下を示す一連の動きの前に調査が行われたからだ。

 だが、今でも大統領への支持が急速に低下しているようには見えない。その理由は、国民がアロヨ副大統領に期待を寄せていないためだろう。SWS調査でアロヨ氏を大統領より高く評価したのは、わずか二五%に過ぎなかった。

 アロヨ氏は、政治家に転身する前はエコノミストとして活躍し、元俳優の大統領とは素地が違う。国民は彼女の能力に疑問を呈しているわけではない。疑惑の真相解明よりも政治家としての地位向上に奔走するその姿勢を問題視しているのだ。

 マルコス政権崩壊へと導いたエドサ革命で、アキノ元大統領は国民に対して「証明された悪」と「可能性ある善」の二つの選択肢を明確に示した。その点、アロヨ氏は大統領と比べ「悪の度合いが低い」だけのように映る。

 次回の世論調査で大統領の辞任を求める声が高まっても、アロヨ氏の評価は変わらないかもしれない。今回のSWS調査を評価できる点は、国民にとって後継者の選択肢がない現状を浮き彫りにしたことだ。

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