立候補「真剣に検討」 次期大統領選でサラ氏発言
サラ副大統領が日本で「大統領選への立候補を真剣に考えている」と明らかに
サラ副大統領は12日、「私的訪問」先の日本で、支持者らを前に「国家の後退を座視し続けることはできない」とし「2028年の大統領選に立候補することを真剣に検討している」と明らかにした。東京で開いた在日比人就労者のパーティーで表明した。次期大統領選への立候補を巡っては、サラ氏はこれまで、立候補届け出が行われる「27年第4四半期まで分からない」と慎重な発言をしていたが、より前向きな姿勢に転じた格好だ。14日の英字紙スターなどが報じた。
サラ氏は支持者からの質問に対し、「われわれがしなければならないことがどれだけ難しいかを、同胞に理解してもらうのは簡単ではない。修正が必要な政府方針については特にそうだ」と述べ、現政権の方針に不満を持っていることを示唆。「しかし、国民が団結し、どこに向かうべきかを知れば、われわれは実現できる」と呼びかけた。
▽180万人の弾劾反対に自信深め
翌13日、フィリピン全国で新興宗教「イグレシア・ニ・クリスト」(INC)によるサラ氏に対する弾劾裁判に反対する大規模集会が開かれ、警察発表で約180万人が参加。帰国したサラ氏は声明を発表し、「これは国家の開発のために(政治的)平穏を希求する人たちの団結と信念の力強い表明だ」と称賛。「物価高、貧困、その他の問題がある中で、平和で団結したフィリピンは決して揺るがない」とした。
翌14日、ベルサミン官房長官も声明を発表。「マルコス大統領の立場はINC集会に影響を受けることはないが、サラ氏弾劾に関する大統領の立場は変わっていない」と述べた。大統領は以前、「サラ氏への弾劾裁判をしてもフィリピン国民のためにならない」として弾劾に反対の立場を表明している。
INCは大規模集会の開催に当たり、「サラ氏の弾劾に反対するマルコス大統領を支持する」という立場を表明。生活必需品の価格高騰などの国内問題に対応するために政治的分断を回避するよう求めている。
INCは国勢調査(2020年)ベースで約280万人の信者を擁し、カトリック、イスラム教に次ぐ信者規模。全国各地に支部を構える同教団は、信者が組織的な投票行動を取ることで知られている。
INCは2022年の統一選でマルコス、サラ両氏ペア(ユニチーム)を支持。両氏はブラカン州にINCが建設した世界最大級の「フィリピンアリーナ」(最大収容人数5万5000人)で選挙運動を始めていた。(竹下友章)