2年連続でOSA協力 沿岸監視レーダー、複合艇供与
日本はOSAを通じて総額16億円の沿岸監視レーダーや海軍向け高質ゴムボート無償供与
マナロ外相と遠藤和也駐比日本国大使は5日、政府安全保障能力強化支援(OSA)を通じた沿岸監視レーダーの追加無償供与などを約束する外交文書に署名した。署名式にはテオドロ国防相も出席した。南シナ海や台湾周辺などで安全保障環境が厳しさを増すなか、昨年創設されたOSAで比は最初の支援対象国となっていたが、2年連続で対象国に選ばれたのは比のみ。昨年の無償協力額は6億円だったが、今回は16億円と2・6倍に増加した。
同支援では比海軍に沿岸監視レーダーのほか、船舶自動識別装置(AIS)などの機材、高質ゴムボート(複合艇)を供与する。AISは2017年以降日本が比に無償譲渡した練習機TC90向け。複合艇は南シナ海アユギン礁(セカンドトーマス礁)への補給任務でも活用されるボートだという。
また、比空軍には、昨年から納入が始まった警戒管制レーダー(三菱電機製造)の関係機材を供与する。同レーダーは2014年の防衛装備移転三原則策定後初の防衛完成装備品の海外移転(輸出)事例で、2020年に比国防省と三菱電機の間で契約が交わされている。
遠藤大使はスピーチで「このOSA事業はわれわれが共有する海洋上の航行の自由を守るという共通の取り組みの表れだ」とし、地域の平和と繁栄の確保に対する日本の決意を表明。マナロ外相は「日本による経済と開発目標に対する支援は、安全保障と経済社会の進歩に大きく貢献してきた」とし、「7月に訪問部隊協力協定(RAA)に両政府が署名をしたが、今日もう一つのマイルストーンに到達した」と喜びを表した。テオドロ国防相は、自由で開かれたインド太平洋の強化のビジョンと国家主権の堅持に関し、「2国間・多国間の防衛協力」の重要性を強調した。(竹下友章)