米大統領選の結果に備えを アイミー議員が比政府に呼びかけ
アイミー・マルコス上院議員が、5日に実施される米大統領選の結果によるインパクトに比政府は十分に備える必要があると警告
アイミー・マルコス上院議員は1日、今月5日に迫った米大統領選について、「結果によるインパクトに備えなければならない」と政府に対して十分に警戒するよう呼びかけるプレスリリースを出した。上院ウェブサイトを通じて1日に発表した。
上院外交委員会の委員長を務めるアイミー議員はまず、米国に住む比人や比系米国人が約450万人いることを念頭に、「大統領選が平和裏に行われる必要がある」と強調、選挙結果を巡る暴力的な事件が米国内で起きる可能性が各国のメディアで取り沙汰されていることに懸念を示した。
同議員は、大統領選の結果次第では、米国の入国管理政策がより移民や外国人の入国・滞在に対して厳しい政策に代わる可能性があるとして、米国に違法滞在しているとみられる数千人の比人が米国から比に強制送還される事態もありうると指摘した。
また、アイミー氏は、比に進出している米国企業、特にビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)企業が新大統領の経済政策変更により、比への直接投資を減らしたり、比事業を縮小させる可能性があると警告した。
さらに、マルコス政権下で米国人投資家への誘致活動が十分ではなく、セブ州にあるマクタン輸出加工経済区などのいくつかの特別経済区で製造業の誘致が十分に進まず、輸出志向企業の進出が低迷していることも指摘した。
今年初めには米国の消費財メーカー大手、プロテクター&ギャンブルがベトナムでの製造拠点拡張事業に1億ドルの投資計画を発表したほか、マイクロソフトもインドネシアに17億ドルを投資してAIおよびクラウド施設を建設する計画を発表、グーグルもタイのデータセンターおよびAI促進拠点の建設に10億ドルを投資する計画を発表するなど、米国企業による比を除く東南アジア諸国への進出計画が明らかになっている。
一方、中国による海洋進出強化に対抗するため南シナ海における比の主張を支持する米国による軍事的プレゼンスの強化政策についても、新大統領による外交政策について不透明となっていることから、アイミー議員は、フィリピン自身で領有権主張を守ることができるよう比政府が「自立的防衛態勢再活性化法」を完全に実施に移すべきだと呼び掛けた。(澤田公伸)