比日米豪の結束示す レイテ上陸80周年記念式典
マッカーサーのレイテ上陸から80年。比日米豪の代表が勝ち取った自由を守るための結束を表明
第二次世界大戦中にダグラス・マッカーサー連合国軍南西太平洋方面最高司令官がフィリピンに再上陸した日から80周年を迎えた20日、レイテ州パロ町の上陸記念公園で、記念式典が開かれた。式には退役軍人らに加え、外遊中のマルコス大統領の代理としてテオドロ国防相が出席したほか、ロムアルス下院議長、遠藤和也駐日日本国大使、ヘキョン・ユー駐比豪州大使、米陸軍のマシュー・マクファーレン少将らが参席した。
テオドロ国防相が代読したメッセージの中でマルコス大統領は、「80年前、レイテ島は歴史の転換点を迎えた。マッカーサー大将は、国全体を持ちこたえさせた三つの単語『アイ・シャル・リターン(私は戻って来る)』という言葉を実現させた。マッカーサー大将がセルヒオ・オスメニャ(亡命政府)大統領と共にこの浜に上陸した瞬間が、連合軍と比国民の決意の象徴となった。米国、豪州、フィリピンと、異なる背景をもった人々が自由の旗印のもと一つになった」と振り返った。
その上で、戦争を経験していない世代へのメッセージとして「われわれが今日祝福した自由は与えられものではない。先人が血と汗と涙によって勝ち取られたものだ」と強調。「この戦いは1944年で終わっていない。先達が遺した遺産を継続することはわれわれの義務だ」と述べた。
テオドロ国防相は、「われわれの領土を征服、領土一体性を損ない、主権的権利を奪い取ろうとする勢力に対する国防力、自然災害に対する回復力の構築を引き続き行う。本日の参席者に代表される同志国との協力の中で行っていく」と述べた。
遠藤大使は、「共通の歴史に正面から向き合い、戦争中に犠牲を払った人々の勇敢さを振り返ることは、未来志向の両国関係の基礎だ」と述べ、参席した退役軍人に敬意を示すと共に、戦後の比国民が示した寛容の精神に謝意を表した。
その上で、「日比両国はパートナーとしてだけでなく、最も親しい友人として、かつてないほど緊密な関係を築いる」と強調。1966年以来、日本が政府開発援助(ODA)の最大供与国として経済開発に貢献しているほか、近年では同志国と共に海上共同活動や海上演習など安全保障分野でも協力を強化していることを報告。
さらに現状の地域的課題について、「東シナ海と南シナ海の安全保障環境が最も複雑で困難な問題の一つだ」と指摘。「われわれ日本国民は、現在と未来の世代のために、戦争の惨禍を二度と繰り返さないことを決意している。法の支配に基づく国際秩序を堅持することにより、日本は、比や他の同志国と共に、平和な世界を築くために結束する」と誓った。
米軍のマシュー・マクファーレン少将は「今回の式典に遠藤大使、ユー大使が参席したことは極めて重要だ」と強調。ブリンケン米国務長官の言葉を引用し、「比米関係はかつてないほど強固になっている」とした上で、「遠藤大使が述べたように、他の同志国を含めた共同訓練の取り組みに拡大している。比米は日豪と共に地域で手を携えて、『自由で開かれたインド太平洋』の維持強化のために連携を強化する」と述べた。
ロムアルデス下院議長は、「われわれはマッカーサー大将のように名が知られているわけではないが、自由のために勇敢に戦った人々をたたえるためにここにきた」とした上で、「かつて起こったことが、二度と起こらないように築き上げてきた進歩を同時に祝したい」と発言、「安全で平和な地域という共同の目的。比と豪州、日本、米国との連帯が強固になっていることを祝福する」とした。(竹下友章)