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10月8日のまにら新聞から

戦略的関係に引き上げ 大統領府で比韓首脳会談

[ 842字|2024.10.8|政治 (politics) ]

マルコス大統領が韓国の尹錫悦大統領と首脳会談。沿岸警備隊間の協力強化などで合意

首脳会談後にスピーチする尹大統領とマルコス大統領=マルコス大統領フェイスブックより

 マルコス大統領は7日、マニラ市の大統領府で、フィリピンを公式訪問している韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と首脳会談を行った。両国の沿岸警備隊による海上安全保障協力の強化や両国の2国間関係を「戦略的パートナーシップ」に引き上げることなどで合意した。

 「戦略的パートナーシップ」は2国間関係としては長期的な関係発展の意図を含めた最上位の関係とされており、比がこれまでに同パートナーシップ関係を結んでいるのは日本、ベトナム、オーストラリアの3カ国。

 首脳会談では、南シナ海や朝鮮半島における地政学的な緊張についても協議し、両首脳は航行の安全を含む国際法に基づく秩序の維持で合意した。

 首脳会談の直後には、両政府間で貿易やエネルギー分野、人的交流や安全保障を含む六つの合意が結ばれた。うち一つは、比沿岸警備隊(PCG)と韓国海洋警察庁との協力を強化する覚書で、マルコス大統領は「アジア太平洋地域における海上安全保障を含む両国の相互海洋利益を保護し、相互理解や信頼、自信を強化する」と説明している。

 さらに、比韓両国は今回、マルコス大統領の父親のマルコス元大統領政権下にほぼ完成したものの、1986年2月のエドサ革命で誕生したコリー・アキノ政権が事業を凍結したバタアン原子力発電所の稼働に関する事業可能性調査を実施することでも合意した。

 7日付英字紙スターによると、バタアン原子力発電所に関する覚書は比のエネルギー省と韓国水力・原子力発電会社との間で結ばれた。ただ、同原発は建物の建設からすでに約40年が経過しており、バタアン以外で原発建設が可能な地点に関する調査も行う予定だという。

 韓国水力・原子力発電会社は2023年2月に暫定的なバタアン原子力発電所に関する事業可能性調査の結果を発表。それによると、同原発は5年間かけて再開発すれば商業運転を行うことが可能だと指摘している。

 比と韓国は1949年3月に国交を樹立し、今年で75周年を迎える。(澤田公伸)

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