「日刊まにら新聞」ウェブ

1992年にマニラで創刊した「日刊まにら新聞」のウェブサイトです。フィリピン発のニュースを毎日配信しています。

マニラ
31度-25度
両替レート
1万円=P3,930
$100=P5560

8月17日のまにら新聞から

「中国抜きCOC作り進行中」 マナロ外相が会見で明らかに

[ 1205字|2024.8.17|政治 (politics) ]

マナロ外相が中国抜きのCOC作りが進んでいることを明らかにした

質問に答えるマナロ外相=16日、首都圏マニラ市で竹下友章撮影

 マナロ外相は16日、フィリピン外国人特派員協会の記者会見で、法的拘束力を持って南シナ海問題を解決する「南シナ海行動規範(COC)」を中国抜きで他の当事国と作るという、マルコス大統領が昨年に提唱した構想について、「海洋分野で協力し、相違点について国際法に則って解決する枠組みを作るというのが大統領が意図したことだ」と補足した上で、「ベトナムおよびブルネイとはそうした取り決めを結んだ」と明言。その上で、「他の権益主張国とも類似した取り決めを持つことにオープンだ」と述べた。

 同相は、「大文字のC」で中国を暗に示しながら、「COCという形ではなくても様々な形でありえる。それは小文字の(中国抜きの)COCでもいいし、海洋協力取り決めの形でもいい。大事なことは、相違点を国際法に基づき平和的に解決する協力枠組みで、これは全ての取り決めの基礎になりえる」と説明した。

 その上で、11年交渉が停滞している東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国との間のCOCについては、「参加国が多いため時間がかかる。しかし、『大文字のC』(=中国)とCOCを取り決めることができたら、効果的で実質的ものとなる」と期待感も示した。

 ASEANと中国は2002年、沿岸国に現状変更の自制などを求める「南シナ海行動宣言(DOC)」を採択したが、実効性に欠け、各国の実効支配する岩や高潮高地の開発が進められた。そのため、法的拘束力のあるCOCの策定に向け2013年から交渉をしているものの、なお締結の見通しは見えていない。

 ▽「気にするなと言った」

 4月までに米軍がルソン北部に持ち込んだ中射程ミサイルに対し、先月中国の王毅外相がマナロ氏と会談した際、早期にミサイルを撤去するよう要求したことについては、「中国はこのことを『ドラマティック』にしている。私は心配する必要はないと伝えた。王外相は『ミサイルが地域を不安定化させる』と言ったが、私は『不安定化させないと思う』と答えた」と会談の一幕を明らかにした。

 6月17日に南シナ海アユギン礁で比中の海上保安機関が衝突し、比海軍ボートがパンクさせられ比海軍職員が親指を欠損するなどした事件について、比国軍が7月に「損害は6000万ペソと推計されており、中国への補償を求めたい」と発表していた件については、「損害額の確定のため関係各機関と共に検討している」とし、まだ正式に中国に対し賠償を請求していないことを認めた。

 また、国際刑事裁判所(ICC)が7月に比政府に対し、前政権の超法規的殺害問題でロナルド・デラロサ上院議員(元警察長官)らへの捜査協力要請していたことをゲバラ訟務長官が認めた件については、「外務省はこの件で、ICCとコミュニケーションしていない」と述べた。ゲバラ長官は「比政府を代表してICCと連絡を取るのは外務省になる」と説明していた。(竹下友章)

政治 (politics)