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7月23日のまにら新聞から

POGO全面禁止打ち出す マルコス大統領施政方針演説

[ 971字|2024.7.23|政治 (politics) ]

大統領が施政方針演説でPOGOの全面禁止を打ち出す。年内の完全停止を娯楽ゲーム公社に命令

 マルコス大統領は22日、首都圏ケソン市の下院本議会場で3回目の施政方針演説を行った。首都圏やルソン地方の各地で、中国系のオンラインカジノ企業(POGO)が人身売買や投資詐欺、拷問などの犯罪行為を行っている疑惑が強まる中、「POGOの全面禁止を宣言する」と大統領が明言すると、議会場に集まった上下両院議員や招待客らからスタンディングオベーションが沸き上がった。

 施政方針演説は同日午後4時から約1時間半にわたり行われた。歴代の大統領による施政方針演説に比べると短時間で終わった。エストラダ元大統領やアロヨ元大統領が賓客として参加していたが、マルコス政権との関係が悪化しているドゥテルテ前大統領やサラ副大統領の姿はなかった。

 マルコス大統領は演説の中でPOGOについて、「詐欺、売春、誘拐、マネーロンダリング、拷問、殺人などの違法行為につながっている」と糾弾。「(POGO閉鎖を求める)国民の声に応える必要がある」と述べた。また、「POGOによる法治国家である比に対する無礼な行い、比社会を妨害し汚す行為をやめさせなければならない」と続けた。

 大統領はさらに、比娯楽ゲーム公社(PAGCOR)に対して年内にPOGOの運営を完全に停止させるよう命じるとともに、労働雇用省(DOLE)に対しては、閉鎖に伴う失業者のために、新たな仕事を斡旋するよう指示するとした。

 これに対し、労働雇用省はさっそく同日の声明で、「責任者と連携し、年末までの時間を使って職を失うことになる同胞のための新しい仕事を準備する」と反応している。

 一方、大統領は演説で中国が海洋進出を強化している南シナ海問題について「西フィリピン海を守るためにフィリピンはその立場を放棄したり、相手に屈したりすることはない」と改めて自国の立場を主張し続ける姿勢を示した。

 さらに大統領は演説で、国内の治安問題について、比共産党の軍事部門、新人民軍(NPA)の拠点が全国でほぼ壊滅したと強調し、国軍や警察による反体制武装勢力への抑え込みに成功していると力説したほか、経済政策についても、「国民がまだ高いコメ価格に苦しんでいるのであれば、どんなに良い経済統計が出たとしても意味はない」と訴え、自身の最大の公約であるコメ価格引き下げに今後も注力する考えを示した。(澤田公伸)

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