「RAA早期妥結に期待」 自衛隊70周年式で大使
日本大使公邸で自衛隊創設70周年式典開催。2プラス2を目前に大使や国軍参謀総長らが連携強化に強い期待を表明
首都圏マカティ市の日本大使公邸で4日、自衛隊創設70周年を記念する式典が開かれた。遠藤和也大使は、外務・防衛閣僚間会合(2プラス2)を8日に控える中、「日比安全保障協力の新たなマイルストーンを予期している」と両国の安保協力の大きな進展を示唆。比日部隊間協力円滑化協定(RAA)の早期妥結に期待を表明した。
式には国軍制服組トップのブラウナー参謀総長、アニョ国家安全保障担当大統領顧問、バウティスタ運輸相、比沿岸警備隊のタリエラ准将などのほか、ドリロン元上院議長、トレンティーノ上院議員、米国のカールソン大使らも参席した。
▽平和の誓いに基づき
遠藤大使はスピーチで、「70年前に自衛隊は、過去の悲劇を繰り返さず、平和と国の独立のために力を尽くすという厳粛な誓いのもとに創設された」と振り返り、2013年のスーパー台風ヨランダの災害救援、東ティモールや南スーダンなど平和維持活動への積極的な参加、海賊対処活動への貢献など、戦後多年にわたる広範な活動を通じ、「自衛隊は地域の安定化に貢献する役割を確固たるものにしてきた」と紹介した。
その上で、現在の安全保障環境について、「歴史の重大な岐路に立っている」と強調。南・東シナ海、台湾海峡、北朝鮮問題、ミャンマー情勢などインド太平洋地域が複数の課題に直面していることを挙げ、「地域の安定と安全の維持に関するフィリピンの役割は疑いなく重要だ」との認識を示した。
記者会見で大使は、先月17日に南シナ海アユギン礁(英名セカンドトーマス礁)発生した中国海警局による比海軍妨害事件にも直接言及。「日本は比船艇を損傷させ、比職員を負傷させた危険行為を含む航行の自由を妨害し緊張を激化させる行動や、不法な海洋権益の主張を深く懸念し、海上保安機関と海洋民兵の危険かつ威圧的な使用に反対する」と述べた。
一方、比については「(2016年)南シナ海仲裁裁判所判断に従って紛争の平和的解決を一貫して求める姿勢を高く評価している」との立場を明言。「自由で開かれた国際秩序と法の支配を守るため、日本は比や米国を含む国際社会と引き続き連携する」と表明した。
今後の安全保障協力については、防衛装備移転の継続や、RAAの早期妥結を通じた比国軍・自衛隊の連携、海上保安機関間の協力、経済安全保障協力の強化に言及したほか、同時に米国、豪州などいれた少数国間(ミニラテラル)連携の進展にも期待を寄せた。
▽より強い抑止力を
ブラウナー参謀総長はあいさつで、「国軍近代化と自衛隊・比国軍双方の強化は、新しい課題に対応するために極めて重要だ」と強調。「われわれはより強い安全保障・抑止能力という共通のビジョンの下、緊密に連携する」と宣言した。
アニョ大統領顧問はで、日本からの協力領域として比軍装備の近代化支援、人道支援災害救援を特に挙げ、「地域と比の管轄域の平和と安定のために協力をしてくれている自衛隊に、国民を代表して感謝したい」と述べた。その上で、「日本との防衛協力を深化させながら、共通の土台で交流を続けることは、心からの願いだ」とした。(ロビーナ・アシド、竹下友章)