比補給物資を奪って投棄 中国海警局がアユギン礁で
海警局がセカンドトーマス礁で比国軍の補給物資の一部を奪って海中に投棄。食料などを持ち帰ったとの情報もある
ブラウナー参謀総長は4日、国軍が先月19日に南シナ海アユギン礁(英名セカンドトーマス礁)に航空補給を実施し、その際に物資の一部が中国海警局によって接収され、海に投棄されたと発表した。さらに、中国国営メディアが同礁に配備されているフィリピン軍兵士が海警局ボートに銃を向けたと報じていることについて、「そのような事実はない」と否定した。
参謀総長によると、19日には国軍が4回の補給を実施。うち3回はアユギン礁に詰め所として座礁させてある海軍艦から出したボートが回収したが、残り1回は海警局が派遣したボートに接収され、中身を海中に投棄された。その後、プラスチック容器やビニール袋に入っていて海水に濡れなかったビスケットなどの一部の食料を比職員が回収した。
ブラウナー参謀総長は「「これは明らかに違法。国際規範では、たとえ戦争中であっても他国の物資を接収しないことになっている」と強調。その上で「すでに情報は外務省に報告してある。抗議するかどうかは外務省の判断だ」とした。
▽食料窃盗国家
この事件について、ジンゴイ・エストラダ上院議長代行は4日、声明を発表。「海警局は食料を接収したほか、病気になった比兵士の搬出を妨害したと報じられている。これは容認できない冷酷な行為だ」とし、海警局を「最も強い言葉で非難する」と述べた。
海警局は接収した食料の一部を持ち帰ったとも報じられている。南シナ海への民間補給任務を行っている進歩派政党アクバヤンのラファエラ・ダビド代表は「主権国家が食料を盗むとは、どの時代のことか。中国の行為は海賊のやり方であり、名誉ある国家のすることではない」と非難。
比外務省に対し、中国大使館へ抗議・謝罪要求を行うとともに、諸外国との連帯を強化し、国際社会と共に中国へ責任追及するよう呼びかけた。(竹下友章)