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5月29日のまにら新聞から

「禁漁期間」中に中国船122隻 比政府・漁業団体が反発

[ 1311字|2024.5.29|政治 (politics) ]

中国の南シナ海禁漁宣言に比政府・漁業団体が反発。海軍は禁漁期間中に中国民兵船を100隻以上確認したと発表

スカボロー礁付近で比漁船を監視する中国海警船=16日、南シナ海で竹下友章撮影

 中国政府が今月から9月16日にかけ、南シナ海北緯12度以北の海域で禁漁を宣言したことを受け、フィリピン政府・漁業団体らが反発の声を上げている。北緯12度以北の海域はルソン、ミンドロ両島に面し、比中で最も緊張が高まる海洋地勢の一つスカボロー礁(比名パナタグ礁)も範囲に入る。これに対し、海軍南シナ海問題報道官のロイビンセント・トリニダット准将は28日、14~20日の期間に海上民兵船131隻、中国海警船15隻、中国海軍艦7隻、21~27日の間に民兵船102隻、海警船15隻、海軍艦5隻を確認したとの情報を公開した。

 その上で同准将は「比海軍は中国による挑発的な宣言を認めていない。そして、国民の生命財産を守るという使命について、抑止されることは一切ない」と明言。今年開始した包括的群島防衛構想(CADC)の一環として、スカボロー礁や台湾に近い比北部の島しょ周辺への哨戒を強化していると明らかにした。

 比外務省は27日の声明で、「一方的な4カ月にわたる禁漁宣言の対象海域には、わが国が主権、主権的権利、管轄権を有する海域が含まれており、中国政府に対し、外交文書による抗議を行った」と発表。

 「比の排他的経済水域(EEZ)に入る海域を除外せず、さらに対象を中国船に限定せずに禁漁期間を宣言することは、1982年の国連海洋法条約(UNCLOS)56条に違反する」という2016年南シナ海仲裁裁判所による判断文を引用した。UNCLOSの56条は、EEZ沿岸国の海洋資源利用に関する主権的権利を定めた条項だ。

 その上で、同省は「これはマルコス大統領の習近平国家主席の間で交わされた『相違点を対話によって管理する』という了解に反する」とし、中国に対し、「緊張を激化させる国際法違反行為」をやめるよう要求した。

 ▽従えば屈服を意味する

 海警局は今月15日、「海警法」(2021年)の施行細則として、「不法入国の疑いのある場合」「国家の安全と利益を危険にさらし、社会秩序や公序良俗を破壊し、その他の違法行為や犯罪行為に関与した疑いがある場合」などに60日間拘束できる「海警機構行政執法程序規定」を発表したばかり。同規則は来月15日から発効するため、それ以後にこれまで比漁民への妨害や威嚇にとどめていた海警局が、身柄の拘束に踏み込む事態に発展することも危惧されている。

 そんな中で比漁民団体はあくまで漁業を継続する意思を表明する。英字紙スターによると、比最大の小規模漁業組合連合パマラカヤのザンバレス支部のジョエイ・マラベさんは「われわれの海域で外国が漁業規制することはできない。根拠のない禁漁には決して従わない」と明言。

 また英字紙インクワイアラーによると、スカボロー礁を漁場とするサンバレス州の漁民団体新マシンロック漁業協会(NMFA)の代表で、今月実施された同礁への民間補給作戦にも参加クアレスマ代表は「中国による禁漁期間が始まっていたことさえ承知していない。われわれの船は毎日漁に出ている。中国の国内法に従うことは、かれらに屈することを意味する」と述べ、漁業を継続する意思を表明した。(竹下友章)

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