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5月21日のまにら新聞から

「権力の意向に添えなかった」 突然の議長交代、改憲重視へ移行か

[ 789字|2024.5.21|政治 (politics) ]

上院で突然の議長交代劇。護憲派ズビリ氏が議長職から降ろされ、改憲派エスクデロ氏が就任

議長就任の宣誓をするエスクデロ新上院議長(中央)、左は妻で女優のハート・エバンへリスタさん=20日、上院が公開

 上院で20日、突然議長の交代が発表された。ズビリ議長に代わって新議長に就任したのは、主要与党の一つ民族主義者国民連合(NPC)所属のフランシス・エスクデロ上院議員。NPCは、マルコス大統領が名誉党首を務めるフィリピン連邦党(PFP)と政治同盟を18日に締結したばかり。突然の「議会クーデター劇」に、大統領と極めて近い改憲派のロムアルデス下院議長が、改憲に慎重なズビリ氏の排除を大統領に説得したのではとの観測も流れた。

 ズビリ前議長は会見で、時折涙を浮かべながら、「私は権力の意向に沿うことができなかった。それだけだ」と語り、無念をにじませた。その上で、自身の続投に支持票を投じたリサ・ホンティベロス議員(野党・自由党)、ソニー・アンガラ議員、JVエヘルシト議員など10議員を列挙し感謝を表明。それは同時に、事実上自身の排除に賛同または容認した14議員を特定した格好ともなった。14議員の中には、大統領の姉のアイミー・マルコス議員、次期大統領候補としてでサラ副大統領と肩を並べる日系3世ラフィー・ドゥルフォ議員、2022年上院選で最多得票のロビン・パディリャ議員、ジンゴイ・エストラダ議員らが含まれている。

 大統領は、「与党内マルコス派作り」といえる動きの第一歩として、8日に比連邦党と最大与党ラカスCMD=党首・ロムアルデス下院議長=が政治同盟を結んだ結成式で、優先課題として経済条項に的を絞った改憲を掲げていた。

 ズビリ前議長は改憲に懐疑的で、現政権になって憲法会議の招集を通じた改憲と、国民請願を通じた改憲の動きが下院主導で見られた際、両方に反対し頓挫させた。

 上院は、マルコス大統領の仲介で3月に経済条項に絞った改憲を目指すことで合意した後も、改憲発議の決議の審議を優先せず、当初の予定だった5月25日の散会前可決の見通しは立っていなかった。(竹下友章)

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