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5月20日のまにら新聞から

「全く容認できない」 中国の新勾留規則に対し大統領

[ 1179字|2024.5.20|政治 (politics) ]

中国海警局が海洋の「不法入国者」を60日間拘束できる新規則を公布。マルコス大統領「全く容認できない。あらゆる措置を講じる」

記者団の質問に答えるマルコス大統領=18日、大統領府が公開

 中国海警局が15日、海上の「不法出入国容疑者」などを最大60日勾留できることなどを定める、海洋法執行に関する新規則を公布した。これを受けてマルコス大統領は18日、記者団に対し「このような行動は全く容認できない」と強調。「国民を常に守るため、あらゆる措置を講じる」と宣言した。

 今回公布された規則は、「第2海軍」とも呼ばれる海警局に対し、中国が「管轄海域」とする海域での「違反行為」について、武器の仕様も含んだあらゆる対処をする権限を付与したことで警戒されている「海警法」(2021年)の新たな施行細則。民間団体「アティン・イト」による南シナ海スカボロー礁(比名パナタグ礁)への民間補給作戦が実施されたタイミングで公表されたことで、比国内に大きな波紋が広がっている。

 全16章281条からなる新規則では、第257条で「出入国管理違反の疑いがある外国人について、その場の取り調べでも疑いを排除できない場合に最大30日、事件が複雑な場合は最大60日勾留できる」と定める。発効は6月15日。

 南シナ海の海洋地勢の中でも、領海のあるスカボロー礁などの高潮高地は特に、出入国管理が可能となる沿岸から24カイリ(接続水域)に比漁船が入った際に、海警局から拘束される恐れがある。その場合、比にとっては正当な漁業権を行使したに過ぎない漁民が事実上の「人質」として交渉材料に使われる可能性も出てくるため、比政府はより厳しい状況に直面することになる。

 

 ▽国際法廷への提訴を

 上院のフランシス・トレンティーノ議員は19日、「中国の主張と行動は国際海洋法条約に明確に違反している」と批判。「バホデマシンロック(スカボロー礁)へ一番近い国はフィリピンであり、その周辺海域は比の排他的経済水域(EEZ)だ」と指摘し、その上で、「国際海洋法裁判所(ドイツ・ハンブルク)、国際司法裁判所(オランダ・ハーグ)への提訴も検討するべきだ」と主張した。

 また、野党自由党のリサ・ホンティベロス上院議員は声明で、「アティン・イトによる平和的で正統な活動が、中国の神経に障ったようだ」と指摘。「このような不当な規則を施行しようものなら、比は再び国際法廷に訴えることになるだろう」と警告した。

 さらに対抗策として、「政府は中国の露骨な国際法違反に対抗するため、米国、日本、オーストラリア、フランスなど同盟国・同志国に対し、EEZ内での共同パトロールを呼びかけるべきだ」と主張した。

 比沿岸警備隊(PCG)のタリエラ報道官(准将)は18日の会見で、「新規則が施行されても海上警備は継続する」と明言。「この規則を本当に施行すれば、ベトナムやマレーシアなど他の沿岸国からの反発も必至だ。中国は恐らく本気で取り組んでいるわけではないだろう」との見方を示している。(竹下友章)

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