中国が「領空に侵入」と警告 パグアサ島視察の上院議長らに
テオドロ国防相やズビリ上院議長、上院議員らを乗せた比空軍機がパグアサ島に着陸態勢に入った際、中国軍から「中国の領空だ」と無線で警告を受けた
テオドロ国防相とズビリ上院議長らは16日、上院議員2人とともに南シナ海南沙諸島でフィリピンが実効支配するパグアサ島に空軍機で向かった際、中国海軍から無線で「中国の領空に侵入している」との警告を受けたと明らかにした。ズビリ議長らは視察を兼ねてパグアサ島で同日開かれる保健施設建設工事の起工式に参加するため現地に向かっていた。18日付英字紙インクワイアラ―が報じた。
ズビリ議長らはパグアサ島に無事到着したが、式典で記者団に対し「比領空であるにもかかわらず、中国から立ち去れなどと言われるのは遺憾だ」と述べた。近年パグアサ島に上陸した政府・議会関係者としてはズビリ議長が最も高位。
同議長らによると、同日もパグアサ島周辺海域に海警局船や海軍艦など22隻の中国船が集結しているのが上空から目視できたという。
パグアサ島は面積32ヘクタールで、パラワン州カラヤアン町管轄下にあり約300人の政策住民が住んでいる。パラワン島の北西約450キロに位置しているが、中国が実効支配し軍地拠点を築いているスビ礁(比名ザモラ礁)から22キロメートルしか離れていない。
同行したビリャヌエバ上院議員も記者団に対し、「飛行機がパグアサ島への着陸態勢に入った時に無線で中国軍から警告を受けたのを自分の耳で聞いた」とした上で、「中国船が22隻も並んでいるのを見るのは身の毛もよだつ経験だった」とし、現地の状況がいかに深刻かという認識を改めて持ったと吐露している。
今回の工事では保健施設のほか国軍兵士の駐屯施設も増強する。
テオドロ国防相は2023年8月の就任以来、初めてパグアサ島に上陸した。(澤田公伸)