中国が「通話録音」を公開か 「盗聴なら違法」と国防相
中国が南シナ海の「紳士協定新モデル」の一部を公開か。フィリピン国防相「通話内容を録音していたら国外追放」
フィリピンと中国で主張が真っ向から対立する南シナ海補給任務に関する「紳士協定の新モデル」の存在ついて、中国政府高官が比側との通話録音の書き起こしの一部を英字紙マニラタイムズに対し公開した。同紙が8日報じた。また中国外交筋は米ブルームバーグに対しても「比側が否定し続けるなら通話録音を公開する」と述べた。それを受け、テオドロ国防相は8日、「電話を録音したのであれば、盗聴防止法に違反しており、録音に関わった中国大使館職員は国外追放されるべきだ」とけん制した。
1月3日に行われたという通話の書き起こしは、まず中国の外交官が「比中双方が補給任務の際に1プラス1隻の船舶を派遣する。比は巡視船と民間補給船を派遣するというのが比側の提案だ」と発言したのに対し、西部司令部司令官(カルロス中将)が「アユギン礁(英名セカンドトーマス礁)での緊張緩和のための行動に合意する。この提案は(名前部分黒塗り)大佐からだが、上官の同意も得ている」と回答。
さらに、「輸送するものは水と食料、または人道支援物資だけ」「比側は任務の2日前に中国側に連絡する」という中国外交官の内容確認に対し、西部司令部司令官がそれぞれ内容を認め、最後に「この提案は(伏せ字)、ブラウナー参謀総長、テオドロ国防相、アニョ大統領顧問(国家安全保障担当)から承認されている」と確認する中国外交官に対し、西部司令部司令官が「その通り確認した」と応じている。
この中国外交官とカルロス司令官の会話とされる一部音声の書き起こしについて、テオドロ国防相は「通話内容を録音したという中国大使館の発言が真実であれば、中国大使館はフィリピン法、特に盗聴防止法に違反したことを認めたことになる」と強調。一部公開された書き起こしが真実かどうかには触れず、「大統領だけが外務省を通じて西フィリピン海(南シナ海)または国際関連事項に関する協定を結ぶことができる」と述べた。
「新モデル」の交渉に当たったとされるカルロス司令官は現在「個人休暇」を取っている。国軍は、休暇と紳士協定問題とは無関係としている。(竹下友章)