「中国はただちに退去を」 比外務省が公使を召喚し抗議
比外務省は、中国公使を召喚し、スカボロー礁での放水事件に抗議するとともに、ただちに船を引き上げるよう要求
比外務省は2日、先月30日にサンバレス州東沖のパナタグ礁(英名スカボロー礁)で発生した中国海警局の放水による比公船の損傷事件について、在比中国大使館の次席公使を召喚し、抗議を行ったと発表した。30日に行われた同礁周辺で操業する比漁船への人道支援任務では、中国の海警局船、民兵船計8隻が比公船に対し、「これまでにない致死的水圧」での放水砲の発射、衝突を繰り返し、船体を破損させていた。
比側は、海警局船および中国海上民兵船が「放水、衝突、妨害、追尾、集結、危険操船その他の攻撃的行為により、パナタグ礁で定期人道支援任務に当たっていた比沿岸警備隊(PCG)および漁業水産資源局(BFAR)の船に損傷を与えた」として抗議。ただちに中国船を同礁の近海から引き上げるよう要求した。
外務省のダザ報道官は、4月30日時点で中国に対し出した抗議は今年だけで20回、マルコス政権下で153回に上ったと発表した。
▽初の巡視船の本格的損傷
今回の放水事件では、日本が供与した44メートル級巡視船BRPバガカイも放水で損傷。手すりの変形や天蓋の崩落に加え、アンテナ部分にも高圧放水が直撃した。PCGのタリエラ報道官(准将)は2日にラジオ番組に出演し、補給任務についている10隻の44メートル級巡視船(日本供与)のうち、BRPバガカイが本格的な損傷を受けた最初の巡視船だったことを明らかにした。また、PCG首都圏・中部ルソン本部のアルナルド・リム司令官代行は同日、巡視船の被害額だけで200~300万ペソに上る可能性があることを明らかにした。
これまで中国の妨害による比船舶への本格的な物的損傷としては、BFAR船や海軍がチャーターした民間補給船の破損が報告されていた。
今回の補給任務では、BFARの30メートル級漁業取締船BRPバンカウが10回の放水、3度の衝突を受けており、損傷は巡視船より大きいとみられる。(竹下友章)