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5月1日のまにら新聞から

海警局が再度放水砲発射 日本供与の巡視船が損傷

[ 1224字|2024.5.1|政治 (politics) ]

南シナ海スカボロー礁で、日本が供与したフィリピンの巡視船に中国海警局船が放水砲を発射し船体が損傷

(左)放水により変形した比巡視船舷側の手すり。(右)中国海警局の大型巡視船により両側から放水される比巡視船(中央)=30日、PCGが公開

 南シナ海サンバレス沖のパナタグ礁(英名スカボロー礁)で4月30日朝、フィリピン漁船への補給および巡視に当たっていた比沿岸警備隊(PCG)の44メートル級巡視船BRPバガカイ=日本供与=が複数の中国海警局の大型巡視船から放水砲を発射され、船体の一部が損傷した。一方、比巡視船は中国が実効支配する同礁まで約900メートルまで接近することに成功した。

 PCG巡視船BRPバガカイは、漁業水産資源局の30メートル級漁業取締船BRPバンカウとともに、29日、比漁船への補給と巡視任務を開始。巡視中、海警局船4隻と中国海上民兵船6隻の危険操船による妨害を受けた。30日午前9時53分ごろ、比業業取締船がパタナグ礁から12カイリ(領海内)に近づいた際、海警局の110メートル級巡視船「海警3305」が放水砲を発射。比漁業取締船の右舷後部に直撃し、船体に損傷を与えた。

 さらに、比巡視船がパナタグ礁の南西1000ヤード(約914メートル)に接近した際、89メートル級「海警3105」、134メートル級「海警5303」が比巡視船を挟み撃ちにする形で放水砲を発射。比船は手すりと屋根部分が変形するなどの被害が出た。

 PCGは、中国海警局がパタナグ礁の礁湖の入口に380メートルにわたるブイの障害物を再度設置したことを確認した。

 パタナグ礁は2012年に比中の海軍・法執行船間のにらみ合いが発生した際、比が米国の仲介により艦船を引き上げた後に中国が実効支配している。比は昨年9月に中国が設置したブイの障害物を撤去したほか、公船の展開位置を同礁に近づけるなど「押し返し」に取り組んでいる。

 中国海警局は同日、「黄岩島(パナタグ礁の中国名)隣接海域に侵入した比巡視船および公船を法に基づき排除した」と発表した。

 ▽残る領有権問題

 パタナグ礁が占拠されたことが契機となって、比側が提起した南シナ海仲裁裁判は、2016年7月の判断で、同礁は12カイリの領海を有するものの200カイリの排他的経済水域(EEZ)を持たない「岩」とするとともに、比中越3国の漁民に伝統的漁業権を認めた。ただ、同裁判所は領有権問題は管轄外とするため、どの国が領土主権を有しているかは宙づりのままだ。

 中国国防部の呉謙報道官は4月25日に開いた会見で、①1898年の「米西戦争の平和条約(パリ条約)」②1900年の「米・スペイン両国のフィリピンの離島割譲に関する条約」③1930年の「英領北ボルネオと米領フィリピンの境界画定に関する条約」――の3条約でパナタグ礁が比の領土に入れられていないことを指摘し、「黄岩島が比領に含められたことは一度もない」と主張している。

 一方で、スペイン植民地期の1734年に作成された「比群島の水路図」にはパタナグ礁が「パナコット島」として記載されている。また、比は2009年の領海基線法でパナタグ礁を領土に含めている。(竹下友章)

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