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4月17日のまにら新聞から

多国間補給任務「可能性ある」 比海軍トップが明言

[ 920字|2024.4.17|政治 (politics) ]

比海軍トップ「南シナ海補給任務に同盟国・同志国の協力を受け入れる選択肢持っている」

一部メディアの取材に応じたアダシ海軍総司令官(左)とトリニダッド准将(右)=16日、首都圏パラニャケ市セダホテルで竹下友章撮影

 フィリピン海軍のトリビオ・アダシ総司令官(中将)とロイビンセント・トリニダット准将(西フィリピン海問題報道官)は16日、まにら新聞など一部メディアの取材に応じた。中国海警局による妨害で比海軍職員に負傷者を出す事態にまでエスカレートする南シナ海の補給任務について、「同盟国・同志国の支援を受け入れる選択肢は持っているか」とのまにら新聞の質問に対し、トリニダッド准将は「持っている」と明言。今月比日米豪4カ国の海軍種が比の排他的水域(EEZ)内で実施した海洋共同活動が「(補給任務に関する)多国間支援の兆しとなっている」との認識を示した。

 その上で、「比海軍が補給任務をする間、同盟国・同志国が航行の自由作戦を周辺海域で実施するということはありえるか」との質問に、アダシ総司令官はしばしの沈黙の後、「これは作戦上の問題に関わるため、秘密としたい」と回答。可能性を否定はしなかった。

 同会見は、防衛ラインを領海・沿岸船からEZZに拡大する新方針「包括的群島防衛構想(CADC)」について、陸海空軍・比沿岸警備隊の高官や海洋安全保障の専門家を招き議論するシンポジウムの直後に開かれた。

 CADCは3月に開始が発表されたばかりで、必ずしも内容が明らかとなっていない。その内容についてトリニダッド准将は「現実を踏まえ、EEZにわれわれが持っているものを防衛するための構想だ」とし、特に海軍力、海洋状況把握(MDA)に重点を置いた国軍の能力向上、国内のステークホルダーや国際社会との連携の強化、さらに防衛・安全保障関係の関連機関が連携して策定する「海洋作戦計画」の実施を含むと説明した。海軍が防衛する範囲としては、海上、海中、上空に加え、サイバー空間を挙げた。

 国軍は現在、反乱の鎮圧から対外防衛へのシフトを進める。中国の海洋進出を背景に、国軍における海軍力の重要性が高まっていることが反映された内容といえそうだ。

 アダシ総司令官はまた、今月の比日米首脳会談に伴い文書化された3カ国連携とCADCとの関連について、「特定の脅威や状況にかかわらず、能力向上を目的とし同盟国・同志国海軍間の協力の強化を進めていく」と述べた。(竹下友章)

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