4カ国連携でプレゼンス示す 初の比日米豪海上共同活動
比日米豪4カ国の海・空軍種は、南シナ海の比EEZ内で初となる4カ国の「海洋共同活動」を実施
フィリピンと日米豪4カ国の海・空軍種は7日、南シナ海の比の排他的経済水域(EEZ)内で初となる4カ国の「海洋共同活動」を実施した。同海で中国が比に対しグレーゾーンでの実力行使を強める中、4カ国が連携してプレゼンスを示した。11日に控える初の比日米首脳会談に先立ち連帯して中国に抑止をかけた格好だ。
比海軍は哨戒艦BRPグレゴリオデルピラール(115メートル、元米沿岸警備隊ハミルトン級カッター)および艦載多用途ヘリAW109、ミサイルフリゲート艦BRPアントニオルナおよび艦載ヘリAW159ワイルドキャット、哨戒艦バレンティンディアス(53メートル、元米沿岸警備隊サイクロン級巡視船)を投入。海上自衛隊は護衛艦あけぼの(151メートル)、米海軍は沿岸戦闘艦USSモービル(151メートル)と海上偵察機P8ポセイドン、豪軍はフリゲート艦HMASワラムンガ(118メートル)とP8ポセイドン(豪空軍所属)を投入し、連携して艦隊運動を行うなど、各種訓練を実施した。
それに対し、中国軍南部戦区は同日、「実戦に備えた空海軍共同の戦闘哨戒を南シナ海で実施した」と発表。独自の「歴史的権利」の論理で南シナ海のほとんどの海域に管轄権を主張する中国と、その主張を退けた2016年南シナ海仲裁裁判判断を支持し同海における航行・上空飛行の自由の確保を強調する4カ国が相互にけん制しあう様相となった。
中国に与えた影響について、国防相のアルセニオ・アンドロン報道官は7日、ラジオ番組で「今回の共同活動は比のEEZ内で実施しているため、緊張が高まるべきでない。中国は刺激されないでほしい」と発言。共同活動の主旨について「国際法の支配を推進し、地域の平和と安定を高めるものだ」とし、また「航行の自由を確保し、参加した部隊の最高の高いプロフェッショナリズムと基準を示すものとなる」と述べた。
6日には、パラワン島プエルトプリンセサ市にある国軍西部司令部(南シナ海管轄)で、4カ国の軍・自衛隊の作戦担当官が集結し、海洋共同活動の内容を決定していた。
比日米豪の海軍種は、昨年8月にマニラ湾内で大型艦を投入し「共同航行」を実施していた。(竹下友章)