「比日米協力が平和の鍵」 ブリンケン氏が大統領訪問
ブリンケン国務長官が来比し大統領、外相らと相次いで会談。南シナ海問題で中国を批判し比日米協力の重要性訴える
フィリピンを訪問したブリンケン米国務長官は19日、マナロ外相、マルコス大統領と相次いで会談した。比への協力としては、防衛・法執行の両分野での海上安全保障協力を強化するとともに、インフラ投資、デジタル化、サイバーセキュリティー、クリーンエネルギー、食料安全保障、気候変動対策、半導体製造などの新たな協力分野を挙げ、「経済基盤の強化こそが、長期的な安全保障につながる」と述べた。大統領に対しては、「新しい協力分野は極めて有望であるだけでなく、われわれの国の強い基盤にもなる」と述べた。また両外相の共同会見では、今週末にキャンベル米国務副長官と日本外務省のカウンタパートが東京で会い、来月11日に開かれる初の比日米首脳会議について議論すると報告した。
記者会見でブリンケン氏は、危険操船や放水砲発射などを通じ南シナ海でフィリピンに対する実力行使をエスカレートさせる中国を名指しし「国際法に反しており、比の権利を侵害している」と非難。
南シナ海について「比にとっても極めて重要だが、米国を含む世界各国とっても重要な水路だ」とし「南シナ海のどこでも、比軍、沿岸警備隊船を含む公船、航空機への武力攻撃は比米相互防衛条約が発動される」と改めて強調した。その上で地域の平和にとって国家間が連携して国際法の順守することが「なによりも重要」とし、特に比日米3カ国の連携が必要との認識を示した。
「武力行使に当たらない範囲で実力行使を強める中国へどう対処すればいいか」との質問には、「世界が中国の行動を知り、比への支持を表明している。比はよく対処できている」との認識を提示。国家間が連帯して国際法の順守を促進しながら、経済力を高めていくことが安全保障の重要な部分となる」と述べた。
マナロ外相は「比米同盟はかつてないほど高まっているが、今後をさらにそれを引き上げていく」とし、今回の会談では「より緊密な調整を通じ、現在起こっている安全保障上の課題に対処するための協力を拡大する方法について議論した」と報告。比の防衛・法執行機関に対する米国からの支援の重要性を強調した。
また、中・低所得国を対象とした米政府によるグローバルインフラ投資パートナーシップ事業(PGI)のパートナー国に比が選ばれたことに歓迎のいを表明。クラーク、スービック、バタンガスをつなぐインフラ建設計画が進んでいるとした。(竹下友章)