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1月11日のまにら新聞から

安保・エネルギー協力で一致 比・インドネシア首脳会談

[ 1179字|2024.1.11|政治 (politics) ]

インドネシアのウィドド大統領がマルコス大統領と会談。エネルギー安全保障に関する覚書が取り交わされた

大統領宮殿で面会したマルコス大統領(右)とインドネシアのウィドド大統領=10日、首都圏マニラ市(代表撮影)

 9日から3日間の予定で比を公式訪問しているインドネシアのジョコ・ウィドド大統領は10日、大統領宮殿でマルコス大統領と会談した。会談でマルコス大統領は、比中の対立が深まる南シナ海問題に言及。「フィリピンとインドネシアは団結しなくてはいけない」と強調した。ウィドド大統領は共同記者会見で、合同哨戒を含め、国境警備に関する協力を一層強化することで一致したと発表した。

 ウィドド大統領は、国境警備や合同哨戒などに関する現行の2国間海上協力合意を「見直す必要性がある」と強調。1975年の国境警備協定の改定に加え、大陸棚境界の確定に関する議論を急ぐ必要性を指摘した。また、フィリピン海軍用の対潜水艦戦用航空機の調達先にインドネシアを選ぶよう求めた。

 比国軍は昨年、南シナ海内で比が管轄権を有する西フィリピン海に対潜水艦ヘリを配備すると発表している。

 マルコス大統領は、国連海洋法条約(UNCLOS)の普遍性を認める両国の主張を確認したと述べた。2016年に常設仲裁裁判所はUNCLOSに基づき中国の南シナ海に対する海洋権益の主張を全面的に退けている。

 またマルコス大統領は、インドネシアによるバンサモロイスラム自治地域(BARMM)の和平と開発への貢献にも触れ、BARMMにおける地方自治制度の構築支援の継続に期待を表明。BARMMの経済的開発に関する2国間覚書を締結する必要性を確認したと発表した。

 ▽エネルギー安保覚書締結

 今回のウィドド大統領の大統領宮殿訪問に合わせ、エネルギー安全保障に関する覚書に署名がされた。署名に立ち会ったマルコス大統領は「これは関係強化に取り組んできた両政権の成果。共同で取り組むことでエネルギー安全保障に相乗効果を生み出すことができる」と喜びを表した。

 エネルギー省によると、同覚書は石炭や液化天然ガスなど燃料が不足した場合などに、両国のエネルギー産業間での協力を両政府が円滑化するほか、再生可能エネルギー、電気自動車、電力需要管理や、水素、アンモニア、バイオ燃料などの代替燃料分野に関し、2国間協力を促進する内容となっている。

 そのほか、ウィドド大統領は、両首脳が貿易を促進するために相互に市場を開放し続けるとで一致したと報告。ただコーヒーについては、インドネシア産コーヒーに対する比政府の特別緊急関税措置(セーフガード)に関してインドネシアへの歩み寄りを求めた。

 さらに、インドネシアの国営企業が参加する合弁企業が昨年7月に比運輸省と契約した南北通勤線建設に関する2プロジェクトの着工に向けた作業の加速化への支援をマルコス大統領に要請した。

 フィリピンとインドネシアの外交関係が樹立されて今年で75年目。それに合わせ、ウィドド大統領は今年最初の訪問先にフィリピンを選んだ。(竹下友章)

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