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10月27日のまにら新聞から

米がルソン沖に空母派遣 緊張激化で中国けん制

[ 986字|2023.10.27|政治 (politics) ]

南シナ海で比中緊張が高まる中、米国が空母打撃群を南シナ海に派遣。艦載戦闘機を発進させ

米空母USSロナルドレーガン=公式フェイスグックより

 米海軍最大級のニミッツ級空母USSロナルドレーガン(333メートル、米海軍第7艦隊)が25日、ルソン島沖に停泊した。同艦は先週末に派遣され、ルソン島西方沖のパナタグ礁(英名スカボロー礁)西南約40カイリを航行したほか、同海でジェット戦闘機FA18Eスーパーホーネットなど艦載機の飛行作戦も実施した。同礁は比の排他的経済水域(EEZ)内にあるが2012年に中国が実効支配を奪っている。空母は単独で行動することはないため、駆逐艦や潜水艦などで構成される米国の「空母打撃群」が南シナ海で展開したとみられる。比各メディアが報じた。

 米国は、ロシアのウクライナ軍事侵攻の後には空母USSハリー・トルーマン(ニミッツ級、333メートル)、ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲した後にはUSSドワイトアイゼンハワー(同)を中核とする空母打撃群を「抑止目的」で近海に派遣している。今回の派遣も南シナ海を巡って比中緊張が高まるなか、中国ににらみを効かせるのが狙いとみられる。

 今回の米空母派遣は、22日に行われた、南沙諸島アユギン礁に詰め所として座礁させてある比海軍艦への補給任務と同じタイミングで実施された。同補給作戦中には、中国海警局船・民兵船の危険操船の結果、中国船と比海軍チャーター船・比沿岸警備隊(PCG)巡視船との間で衝突事件が起こる事態に発展している。

 中国外務省の毛寧報道官は翌23日、「比による仁愛礁(アユギン礁の中国名)への侵入を米国はそそのかし、支援している」として、空母派遣と結びつけ米国を非難した。

 米バイデン大統領は米時間25日の会見で、「先週、自国のEEZ内で補給任務に従事する比船に対し、中国船が危険で不法な行動を取った」と明言。その上で「これははっきり言っておきたい。米国の比防衛へのコミットメントは鉄壁だ。比航空機、船舶、軍隊へのいかなる攻撃も比米相互防衛条約を発動させる」と強調し、中国に警告した。

 船舶衝突事件を受け、米国が強いメッセージを発する中、中国外務省の毛報道官は26日、「米国は南シナ海の当事者ではなく、中国とフィリピンの間の問題に関与する権利はない。比を防衛するという米国の約束が南シナ海における中国の主権と海洋権益を害してはならない」と述べ、南シナ海問題に対する干渉をけん制した。(竹下友章)

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